『容疑者xの献身』(映画版/Netflix)/東野圭吾さんの遺作『永遠の記憶』に関する考察②

128分 2008年 東宝

東野圭吾さんの遺作『永遠の記憶』には、自身の代表作『容疑者xの献身』だけでなく、〈ガリレオシリーズ〉の映像化作品(テレビドラマ&映画版)のアイデアを採り入れた部分もある。
その代表が柴咲コウが演じていた女性刑事・内海薫で、女性のキャラクターを加えたいとする映像化側の要望を東野さんが受け入れたもの。

この映画版『容疑者x』では、原作における草薙刑事の代わりに、内海が湯川学(福山雅治)の捜査上のパートナーを務めている。
草薙(北村一輝)も原作と同じ湯川の帝大の同期生、及び内海の先輩として登場するが、原作に比べると、物語に占める役割はかなり小さく、キャラクターとしての扱いも軽い(ただし2022年のシリーズ第4作『沈黙のパレード』では原作通りのキャラで福山とがっぷり四つに組んだ熱演を見せている)。

本作から10年以上経った今年の『永遠の記憶』では、内海は最初の被害者となり、そのことで心を痛めている草薙は湯川を相手に「終活」を口にする年齢になっている。
このあたりも、結果として『永遠の記憶』のエンディングに厚みを加える伏線となった。

映画版『容疑者x』からもう一つ『永遠の記憶』に流用されたアイデアで、「あっ」と思ったのは、花岡靖子(松雪泰子)が経営している弁当屋の店名である。
これが使われていることで、『容疑者x』と『永遠の記憶』がより密接につながり、静かな感動を呼び起こす要素の一つにもなっているのだ。

そして、最も気になるのが、堤真一が演じた天才数学者の石神哲哉。
原作では、頭が薄くなり、丸顔で細い目、ずんぐりした醜男、という設定になっているが、本作では湯川とともに冬山に登るシーンでカッコいいところを見せる。

もし石神が湯川と再会することがあるとしたら、どのような状況で、何を話すのか。
そうした読者の想像を、『永遠の記憶』は「永遠の謎」のままにしてしまう作品でもあった。

しかし、『永遠の記憶』は早くも映画化されるのではないか、という憶測が広がっている。
実現するとなったら、配役はやはり、湯川は福山、草薙は北村、内海は柴咲しか考えられない。

果たして、そこに『容疑者x』と『永遠の記憶』に関わった石神(堤)が共演することはあり得るのか。
東野さんとガリレオシリーズのファンにとっては大いに気になるところである。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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