
第1刷:2026年9月30日
2004年に巻き起こったプロ野球再編騒動をスポーツ紙記者として取材していた著者が、約20年の時を経て再取材、再検証を試みたノンフィクション作品。
あの騒動後、様々に書かれた記事や著作は大抵の場合、〝神の視点〟で俯瞰的に描かれているが、本書は徹頭徹尾、現場を駆け回った記者の視点で綴られている。
つまり、視点が上ではなく下、最上階より地べたに近いところにあるわけで、その一介の記者ならではの立場と姿勢が独特の生々しさとリアリティを生んでいる。
オリックス担当をしている際に監督の怒りを買ったり、当時勤めていた新聞社の後輩や上司と口論したりする序盤から、球界再編のキーパーソンへ直撃取材をかける中盤、終盤まで、僕も経験したあの騒動の熱気と混乱ぶりがヒシヒシと伝わってきた。
そうした当時の取材ぶりや現場の雰囲気を再現する一方で、当時の著者自身が「知見も、人脈も、筆力も、すべてが足りなかった」と潔く述懐しているところが印象深い。
実際には、後になって「取材不足」を痛感している記者は、僕を含めて少なからずいたはずだ。
本書には僕が個人的に知っている関係者も何人かコメントしている一方、騒動当時から今日まで、まったく表舞台に出てこなかった重要人物も登場する。
20年前の再編騒動の最中、元巨人オーナー、故渡辺恒雄氏をはじめ、現在の未来図が見えていた球界の重鎮はいたのだろうか、改めてそんな疑問が過った。
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