
第1刷:2012年4月10日 第28刷:2026年8月10日
単行本発行:文藝春秋 2008年10月
東野圭吾さんのガリレオシリーズ5作目にして、『容疑者xの献身』に続く長編第2作。
資産家の男が大邸宅で毒殺され、和歌山カレー事件でも使われた亜ヒ酸による犯行と判明する。
しかし、どうやって亜ヒ酸を被害者に盛ったのか、警視庁捜査一課の懸命の捜索にもかかわらず、一向に殺害方法がわからない。
さらに、離婚話が持ち上がり、有力な容疑者と目されていた妻には鉄壁のアリバイがある。
シンプルと言えばこれほどシンプル極まりない謎を解き明かすのに、東野圭吾さんは短編ではなく本格長編の紙数を費やしている。
そこに浮かび上がるのは、何としても被害者を殺すため、解明不能かに思われたトリックを考案した犯人の恐るべき執念だ。
正直なところ、いくら他人に恨みを抱いていても、これほど周到に計画を練り、時間をかけて犯行に及ぶ人間は、現実にはほとんどいないだろう。
それほどのトリックを解明するガリレオこと湯川学もまた、相当な執念の持ち主であることが改めて伝わってくる。
東野圭吾さんは、そういう探偵と犯人の人間像を、淡々とした文体によってリアルに描いて見せる。
それが、東野さんの作家としての技であり、信念なのだと思う。
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