
俺はやっぱり、死ぬまで〝映画小僧〟体質なのかな。
身も心もくたびれていたり、悔しさや悲しみを引きずっていたりしても、こういう映画やテレビに関する本の内容はスルスルと頭の中に入ってくる。
本書は数々の名作、ヒット作、話題作を手がけた日本映画界を代表する名脚本家・高田宏治の評伝。
映画関係の著書が多いノンフィクション作家・春日太一によるロングインタビューと解説で構成されている。
読みどころは読者によって様々にあるだろうが、僕にとってはまず、自分が観て印象に残っている以下の作品に関する内幕が非常に面白かった。
『忍者狩り』(1964)
『十兵衛暗殺剣』(1964)
『仁義なき戦い 完結編』(1974)
『資金源強奪』(1975)
『強盗放火殺人囚』(1975)
『新仁義なき戦い 組長の首』(1975)
『新仁義なき戦い 組長最後の日』(1976)
『沖縄やくざ戦争』(1977)
『北陸代理戦争』(1977)
『野性の証明』(1978)
『復活の日』(1980)
『鬼龍院花子の生涯』(1982)
著者が指摘し、高田本人も自覚しているように、橋本忍や笠原和夫のような独特の作家性を持つ脚本家とは違い、高田はあくまでも娯楽作品のプロであり、職人的な書き手に徹している。
自分の主張を貫き通すことより、製作会社、監督、スター俳優の注文やその時々の状況に合わせて、自分がベストと考えるストーリーを紡いできた。
しかし、そうした職人仕事の中にも、自分の生き様や人生哲学を反映させた名セリフが多い。
例えば、笠原が平板だと酷評していた『仁義なき戦い 完結編』で、武田(小林旭)に「酒でも飲まんか」と誘われた広能(菅原文太)が「そっちとは飲まん」と断るくだりがある。
武田「なんでじゃ」
広能「死んでったもんに、すまんけえのぉ」
僕個人としては、笠原がシナリオを書いた前作『仁義なき戦い 頂上作戦』(1974)の幕切れより、こちらのほうがよほど印象に残っている。
東映の先輩が完結させるつもりで書いた脚本に、さらに後日談としての着地点を見出した筆致に唸った。
客を呼べるストーリーを書くことを第一に、どんな難題やアクシデントをも呑み込んで作品を仕上げてこそプロ。
それはスポーツライティングという仕事にも言えることだが、さて、俺はその域に達しているだろうか。
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