
1シーズン4エピソード 全246分 2026年 アメリカ=Netflix
1970年代後半のデビューから2025年の急逝まで、日米でカリスマ的人気を誇ったプロレスラー、ハルク・ホーガンの生涯を丹念に描いた計6時間のドキュメンタリー。
本作を観ると、ホーガンが単なる一レスラーではなく、プロレスというジャンルを社会的エンタメに昇華させたスーパースターだったことがよくわかる。
当初は本名テリー(・ボレア)にちなんだテリー・ボールダーというリングネームで試合をしていたが、これはいずれインパクトのある名前に変更してメジャー団体でデビューするための作戦。
WWF(現WWE)のオーナー、ビンス・マクマホン・シニアに見出され、シニアと同じアイルランド系の「ホーガン」という名前をもらってからスター街道が始まる。
当初はプロレスが下手で、同時代のレスラーにも「本当は弱い」と酷評されていたものの、シニアの後押しを受けて堂々たるメインイベンターに成長。
レッドとイエローのバンダナ、タンクトップ、タイツにシューズという独自のコスチュームに、ファンに大声で「ブラザー!」と呼びかけるスタイルで人気を博した。
トップの座をブレット・ハートに取って代わられると、マクマホン・ジュニアとの確執もあってライバル団体のWCWに移籍。
ヒールに転向してnWoブームを起こし、WCWの屋台骨が傾いたら、ケンカ別れしたジュニアに団体の買収を持ちかけ、WWEに復帰する。
しかし、ビジネスでは何度もピンチを乗り越えたホーガンも、テリー・ボレアとしての私生活は決して幸せとは言えなかった。
娘ブルックのマネージャーを務めていた女性と長年不倫の関係を持ち、リンダ夫人に三行半をたたきつけられて離婚。
全財産の70%をさらっていったリンダは、ブルックと同級生の青年を新たなボーイフレンドにして、かつてホーガンが買った高級車でデートを重ねる。
リンダの露骨で残酷な当てつけに深く傷ついたホーガンは当時、「毎晩浴びるように酒を飲んでいた」と吐露。
この頃には、長年のファイトと過密スケジュール、それに再三指摘されているステロイドの過剰摂取による負担も確実にホーガンの心身を蝕んでいた。
アメリカでフィニッシュに使用していたレッグドロップの影響で、尾骶骨が削れ、背骨も湾曲していたほどである。
再婚した新しい妻とも別れ、急性心筋梗塞で亡くなった時はまだ71歳。
テリー・ボレアの人生とは何だったのか、観終わった後、深い疑問と悲しみが胸にこみ上げてくる。
なお、ホーガンと個人的に親しく、WWEの興行でマクマホン・ジュニアと〝対戦〟したこともあるトランプ大統領が珍しくインタビューに応じ、温かいコメントを寄せている。
すっかり痩せ細ったジェシー・ベンチュラ、マネージャーだったジミー・ハート、WWEのブッカーでもあったトリプルHも登場しており、アメリカン・プロレスの歴史を知る上でも貴重な作品である。
オススメ度A。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑