『月光仮面 THE MOON MASK RIDER』(TOKYO MX2)😑

108分 1981年 日本ヘラルド映画

7月31日の夜7時、突如TOKYO MX2で放送されたテレビドラマ『月光仮面』(1958〜1959年、KRテレビ=現TBS)の実写映画化リメイク作品。
なぜこんな埋もれた映画がいまごろになって、それもCM抜きのノーカット版でオンエアされたのかはわからない。

いまやすっかり忘れ去られているのも道理で、この映画、とにかくパッとしない、盛り上がらない、要するにつまらない。
一応、真面目に作ってはいるけれど、肝心のヒーロー・月光仮面のアクションシーンが実にショボく、演じる桑原大輔という俳優が素顔を見せる場面もちょっぴりしかない上、ほとんどしゃべらないときている。

桑原をネットで検索してみたところ、出演作品は本作以外にほとんどないので、恐らく俳優としては素人だったのだろう。
その弱味を補うべくキャスティングされたのか、桑原の周りを固める敵役や脇役の顔ぶれはなかなか豪華である。

カルト教団「ニューラブカントリー」の教祖にして連続強盗犯「レッドマスク団」のボスに鈴木瑞穂。
そのボスが育てた教団の紅一点が志穂美悦子、元左翼活動家の信者兼戦闘員のリーダーが地井武男、配下にガッツ石松、ジョニー大倉、山西道広、さらにボスが裏切り者を始末するために雇っている殺し屋に清水宏。

一方、月光仮面とともにレッドマスク団を追う警察には藤岡琢也、桜井センリ、鈴木ヤスシ、また藤岡琢也の義理の息子の新聞記者が原田大二郎、実の息子が井上純一。
レッドマスク団に現金を強奪される政治家の小松方正、エンディングでチラリとカメオ出演する巡査の小柳トムまで含めると、オールスターキャストと言っても言い過ぎではない。

個人的におやっ? と思ったのは、警察とレッドマスク団の間で身代金の受け渡しが行われる後半、川崎球場でロケ撮影が行われていること。
映画ではなぜか東京球場という名称になっていて、看板も付け替えられているが、かつて僕も取材に足を運んだ〝川崎劇場〟であることは明白。

月光仮面の乗るムーンライト号は本物のナナハンで、ムーンクラフト社のレーシングカーデザイナー・由良拓也が製作。
前半、このムーンライト号でジャンプし、大型トレーラーを飛び越えるシーンは合成や特撮なしで撮影されており、バイクスタントとしては邦画史に残る〝快挙〟と言っていいはずなのに、これもすでに忘れ去られて久しい。

なお、監督は日活ニューアクションの気鋭として知られ、原田芳雄主演の『反逆のメロディー』(1970年)を撮った澤田幸弘。
と、当時の才能ある映画人が結集しており、いろいろと見どころの多い作品ではあるものの、そういうことを知っている僕のような高齢者のファンでないと、面白くも何ともないでしょうね、やっぱり。

オススメ度D。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

87『ツイスター』(1996年/米)B
86『夢を生きた男 ザ・ベーブ』(1992年/米)B
85『わたしは金正男を殺してない』(2020年/米)A
84『リスタート』(2021年/吉本興業、ハピネットファントム・スタジオ)B
83『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年/米)C
82『ウルトラマン』第30話「まぼろしの雪山」ハイビジョンリマスター版(1967年/TBS、NHK)B
81『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」ハイビジョンリマスター版(1967年/TBS、NHK)B
80『顔』(1957年/松竹)C
79『砂の器』(1974年/松竹)B
78『オールド』(2021年/米)B
77『マスカレード・ナイト』(2021年/東宝)B
76『そして、バトンは渡された』(2021年/ワーナー・ブラザース)B
75『スーパーマン&ロイス』シーズン1(15)「クリプトン最後の息子たち」(2021年/米)B
74『スーパーマン&ロイス』シーズン1(14)「エラディケーター」(2021年/米)B
73『スーパーマン&ロイス』シーズン1(13)「非常手段」(2021年/米)B
72『眼の壁』(2022年/WOWOW)B
71『白蛇小町』(1958年/大映)B
70『妖怪大戦争』(2005年/松竹)C
69『妖怪大戦争』(1968年/大映)B
68『妖怪百物語』(1968年/大映)B
67『レミニセンス』(2021年/米)C
66『張込み』(1958年/松竹)B
65『トップガン』(1986年/米)B
64『ゼロの焦点』(1961年/松竹)C
63『ザ・商社』(1980年/NHK)B
62『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960年/東宝)B
61『地球の静止する日』(1951年/米)C
60『ウエストワールド』(1973年 /米)B
59『スーパーマン&ロイス』シーズン1(12)「たとえ死の谷を歩むとも」(2021年/米)B
58『スーパーマン&ロイス』シーズン1(11)「つかの間の追憶」(2021年/米)A
57『天使と悪魔』(2009年/米)A
56『キングコングの逆襲』(1967年/東宝)B
55『キング・コング』(1933年 /米)A
54『スーパーマン&ロイス』シーズン1(10)「母との再会」(2021年/米)A
53『スーパーマン&ロイス』シーズン1(9)「忠実なサブジェクト」(2021年/米)A
52『TOKYO VICE』#8剣ヶ峰(2022年/WOWOW、HBO Max)C
51『TOKYO VICE』#7不義不徳(2022年/WOWOW、HBO Max)B
50『ライトハウス』(2019年/米)C
49『TOKYO VICE』#6虚々実々(2022年/WOWOW、HBO Max)B
48『TOKYO VICE』#5因果応報(2022年/WOWOW、HBO Max)B
47『スーパーマン&ロイス』シーズン1(8)「無力な自分」(2021年/米)B
46『スーパーマン&ロイス』シーズン1(7)「鋼鉄の男」(2021年/米)B
45『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年/米)A
44『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2018年/米)B
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42『TOKYO VICE』#4虎穴虎子(2022年/WOWOW、HBO Max)B
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40『ドニー・ダーコ』(2001年/米)B
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36『TOKYO VICE』#1新聞記者(2022年/WOWOW、HBO Max)B
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33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
31『すばらしき世界』(2021年/ワーナー・ブラザース)A
30『私は確信する』(2018年/仏、白)C
29『透明人間』(2020年/米)A
28『アナザーラウンド』(2020年/丁、蘭、瑞)A
27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
26『スーパーマン&ロイス』シーズン1(1)「パワーの目覚め」(2021年/米)A
25『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
24『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(1967年/東映)B
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
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16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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