『トップガン』(Amazon Prime Video レンタル)😉

Top Gun
109分 1986年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ 日本配給:UIP
(※画像は1986年の初公開版をベースとした2021年再公開版) 

この映画は確か、レンタルビデオを夏季休暇中で帰省していた実家で観たと記憶している。
当時としては非常にファッショナブルなオープニング映像、美しいテーマ曲と主題歌はその後も長く印象に残っていたが、肝心の中身はつい最近再見するまですっかり忘れていました。

本作で主演のトム・クルーズが一気にブレークしたのはご存知の通り。
その背景には、当時ソ連による大韓航空機撃墜事件が発生、俳優出身のタカ派大統領レーガンが対ソ強硬路線を打ち出し、全米で盛り上がった〝反共ブーム〟があった。

このとき、クルーズは弱冠25歳にして、単なる一主演俳優ではなく、作品全体に自分の考えを反映させる権限を要求。
脚本に手を入れることはもちろん、毎日撮影が終わるたびにラッシュをチェックして、編集にも自分の意向を反映させていたというからすごい。

クルーズは海軍の広告塔となり、『トップガン』公開後には海軍への入隊希望者が全米で5倍、クルーズが映画で使用したレイバンのサングラスの売り上げは4倍に激増したという。
そうした反響を受けて、すぐさまギャラ500万ドルで『トップガン』の続編出演のオファーが舞い込んだが、クルーズはこれを拒否。

いったんアクション映画路線から離れ、『ハスラー2』(1986年)でポール・ニューマン、『レインマン』(1988年)でダスティン・ホフマンと、アメリカを代表する名優と共演することを選択。
さらに、オリヴァー・ストーン監督の『7月4日に生まれて』(1989年)でベトナム帰還兵を演じ、自らも本格的演技派スターへの道を歩み始める。

それだけ自己プロデュース能力に長けたクルーズが、一度は断った『トップガン』の主役を36年後になってまた演じようと決断した本当の狙いと理由は何だったのか。
凡人にはにわかに理解し難いが、世界中で今年最高の興収を記録した事実が、クルーズが俳優としてだけでなく(あるいは俳優として以上に)プロデューサーとしての非凡な才能の持ち主であることを物語っている。

なお、そんなクルーズの側面についてはBS世界のドキュメンタリー『トム・クルーズ-永遠の若さを追求して-』(2020年)が詳しい。
興味のある方はぜひ!

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

64『ゼロの焦点』(1961年/松竹)C
63『ザ・商社』(1980年/NHK)B
62『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960年/東宝)B
61『地球の静止する日』(1951年/米)C
60『ウエストワールド』(1973年 /米)B
59『スーパーマン&ロイス』シーズン1(12)「たとえ死の谷を歩むとも」(2021年/米)B
58『スーパーマン&ロイス』シーズン1(11)「つかの間の追憶」(2021年/米)A
57『天使と悪魔』(2009年/米)A
56『キングコングの逆襲』(1967年/東宝)B
55『キング・コング』(1933年 /米)A
54『スーパーマン&ロイス』シーズン1(10)「母との再会」(2021年/米)A
53『スーパーマン&ロイス』シーズン1(9)「忠実なサブジェクト」(2021年/米)A
52『TOKYO VICE』#8剣ヶ峰(2022年/WOWOW、HBO Max)C
51『TOKYO VICE』#7不義不徳(2022年/WOWOW、HBO Max)B
50『ライトハウス』(2019年/米)C
49『TOKYO VICE』#6虚々実々(2022年/WOWOW、HBO Max)B
48『TOKYO VICE』#5因果応報(2022年/WOWOW、HBO Max)B
47『スーパーマン&ロイス』シーズン1(8)「無力な自分」(2021年/米)B
46『スーパーマン&ロイス』シーズン1(7)「鋼鉄の男」(2021年/米)B
45『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年/米)A
44『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2018年/米)B
43『クワイエット・プレイス』(2018年/米)A
42『TOKYO VICE』#4虎穴虎子(2022年/WOWOW、HBO Max)B
41『TOKYO VICE』#3精神一到(2022年/WOWOW、HBO Max)C
40『ドニー・ダーコ』(2001年/米)B
39『スーパーマン&ロイス』シーズン1(6)「パワーの代償」(2021年/米)B
38『スーパーマン&ロイス』シーズン1(5)「スモールビルの良心」(2021年/米)B
37『TOKYO VICE』#2起死回生(2022年/WOWOW、HBO Max)B
36『TOKYO VICE』#1新聞記者(2022年/WOWOW、HBO Max)B
35『ふたりのウルトラマン』(2022年/NHK)A
34『スーパーマン&ロイス』シーズン1(4)「波乱の幕開け」(2021年/米)B
33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
31『すばらしき世界』(2021年/ワーナー・ブラザース)A
30『私は確信する』(2018年/仏、白)C
29『透明人間』(2020年/米)A
28『アナザーラウンド』(2020年/丁、蘭、瑞)A
27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
26『スーパーマン&ロイス』シーズン1(1)「パワーの目覚め」(2021年/米)A
25『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
24『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(1967年/東映)B
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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