『アオラレ』(WOWOW)😉

Unhinged
90分 2020年 アメリカ=ソルスティス・スタジオ 日本公開:2021年 配給:KADOKAWA

青信号で発車せず、後続車の女性ドライバーにクラクションを鳴らされたことに腹を立てた男が、ストーカーと化して執拗に女性の車をつけまわし、何度もあおり運転を繰り返す。
というスティーヴン・スピルバーグ監督の『激突!』(1971年)とルトガー・ハウアー主演の『ヒッチャー』(1986年)を掛け合わせて2で割り、今風に暴力描写をエスカレートさせたような映画。

ラッセル・クロウ演じるストーカーは家族を殺して警察に追われており、追いかけ回すレイチェル(カレン・ピストリアス)とも知り合いだったわけではなく、ただ単純にクラクションにカチンときただけ。
人生に絶望し、自暴自棄になったあげく、最近日本でも頻発している「拡大自殺」をするために暴走しているようにも感じられる。

あおり運転は日本でも2017年に東名高速で発生した死亡事故によって大きな社会問題となり、厳罰化されるきっかけとなった。
本作は社会性のあるサスペンス映画としてよくできていると思うが、あの東名高速死亡事件と同じようなシーンが出てきたときには、正直、さすがに楽しむ気分が吹き飛んでしまった。

私生活でも短気なことで知られ、たびたび暴言を吐いたり、暴力事件を起こしたりしているクロウはどハマりの好演、かつ怪演。
ただ、役作りのための増量で話題になった『ザ・ラウデスト・ボイス―アメリカを分断した男―』(2019年)よりもさらに太っており、クロウ自身が〝モンスター化〟しているのが気になります。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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