『死と処女(おとめ)』(WOWOW)🤗😱

Death and the Maiden
103分 1994年 アメリカ、イギリス、フランス=ファイン・ライン・フィーチャーズ
日本公開:1995年 配給:UIP デジタルリマスター版再公開:2024年

ロマン・ポランスキーがアルゼンチン出身、チリ在住の作家アリエル・ドーフマンの同名戯曲を映画化した密室劇の傑作。
原作のタイトルはシューベルトの名曲『死と乙女』をモチーフにしており、作者のドーフマンは1973年にチリで軍事クーデターが起こったためにアメリカに亡命し、90年代に入って約20年ぶりに帰国した。

チリを思わせる南米某国を舞台とした本作は、ドーフマンが実人生で培った政治観、国家観が色濃く反映されている。
大雨の夜、海岸沿いの一軒家でポーリナ・エスコバル(シガーニー・ウィーヴァー)が晩餐の支度をしながら夫ジェラルド(スチュアート・ウィルソン)の帰りを待っていると、その夫が新政権の人権調査委員会の委員長に選ばれたというラジオニュースが流れてくる。

この国は今まで軍部に支配されていたが、民主主義を打ち出した新大統領が就任し、前独裁政権時代の拷問や暗殺など、数々の人権侵害事件の調査に乗り出した。
大統領はそのリーダーに、ポーリナの夫ジェラルドを指名したのだ。

そこへ、ジェラルドがロベルト・ミランダ(ベン・キングズレー)という医師の車に乗せられて帰ってくる。
帰宅する途中、自分の車がパンクして立ち往生しているところへミランダが通りがかり、わざわざ遠回りをして送ってくれたという。

しかし、夫とミランダを出迎えたポーリナの態度がどことなくおかしく、やがて三者の間に政変にからんだおぞましい過去があることがわかってくる。
様々な真相が明らかになるにつれ、俳優たちの演技も鬼気迫る迫力を見せ、どぎついセリフを連発し、どう決着するのかと見入らないではいられない。

とくにシガーニー・ウィーヴァーは彼女のベストと言ってもいい熱演。
密室で心理サスペンスを盛り上げるポランスキーの演出もさすがの腕前である。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
先頭に戻る