コロナが匂ったのはハマスタの駐車場だった🦠⚾️

午後3時半になってもビジターチームのフリー打撃が行われていない異様な光景

まさか、開幕2カード目、取材3試合目でこんな事態に直面するとは、夢にも思わなかった。
冷静に考えれば、新型コロナウイルスの感染者数が日を追って増えている折、想定しておくべきケースではあったのだが。

午後1時15分ごろ、横浜スタジアムの駐車場に入ったときから、異様な雰囲気を感じた。
ヤクルトの青木、内川、川端が自分の車の運転席にいて、3人とも硬い表情。

すでに三塁側のロッカーとベンチは開いているこの時間、彼らのような主力選手が車の中にとどまっているとは、どういうことか。
DeNAの試合前練習が終わっても、ヤクルトの選手がなかなかグラウンドに現れず、やっと出てきたと思ったら、打撃投手などのチームスタッフや投手ばかり。

午後3時半前、DeNAの選手が撤収しても、グラウンドに残された打撃ケージに入るヤクルトの野手はいない。
そうした中、3時49分、NPBの公式ホームページにヤクルトの出場選手登録・抹消情報が公示された。

コロナ陽性反応が出た西田の名前にアンダーラインが

この公示のアップから約1時間後の午後4時半ごろ、ヤクルトは西田と20代の球団スタッフが新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応を示したと発表。
西田とともに、濃厚接触者の疑いがある内川、青木、山田哲、西浦、スアレスが登録抹消となった。

ある関係者によると、当然のことながら、一時はきょうの試合を中止せざるを得なくなるかもしれない可能性も浮上していた、という。
前日の出場選手に陽性反応が出た中、予定通り試合が行われたことを「強行」と捉えるかどうかは、見方の分かれるところだろう。

抹消された6人に代わって登録された嶋、長岡、武岡、松本らは、イースタン・リーグの試合が行われていた日本ハム二軍本拠地・鎌ヶ谷から車を飛ばしてハマスタへ急行。
試合開始には間に合わず、二回途中からベンチ入りするのが精一杯だったようだ。

なお、彼ら4人にはコロナ禍に合わせてつくられた時限立法「特例2021」が適用され、「代替指名選手」となる。
通常、登録を抹消された選手は10日間再登録されないが、代替指名選手は今後10日以内に抹消された場合、日数の制約なしで再登録できるのだ。

三回無死一・二塁からヤクルト・中村に送りバントを決められるDeNA・入江

試合前に深刻な事態が発覚したヤクルト、きょうの打線は飛車角金銀落ち、いや、飛車の4番・村上は残っているから、角金銀桂馬落ちぐらいか。
これで、いまだ今季0勝のDeNAが初勝利を挙げる確率が上がったはずなんだけれど、そう単純にはいかないのが野球である。

DeNAの先発投手はプロ初登板・初先発のドラフト1位新人・入江(明大)。
三浦監督は「チーム状態がどうこうではなく、ストレートで押す自分のピッチングをしてほしい」と送り出した。

しかし、結果は5回8安打5失点。
三回まで毎回先頭打者を出す苦しい投球で、ヤクルト・塩見に2打席連続タイムリーで3失点、村上に今季2号2ランを浴びて事実上のノックアウトである。

六回にはドラフト2位新人・牧(中大)が3ランを放って追い上げたものの、七回以降はヤクルトにマクガフ、清水、石山とつながれてノーヒット。
それでも三浦監督は試合後のテレビインタビューで、「結果が出ていないだけで状態は悪くない」と前向きな姿勢を強調していた。

なお、ヤクルトは内川、青木が濃厚接触者と認定され、4月13日までの2週間自宅待機となった一方で、明日から山田哲、西浦、スアレスが再合流することが決定。
明日、DeNAの先発・上茶谷はDeNAの今シーズンと三浦監督に初勝利をもたらすことができるだろうか。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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