『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(WOWOW)😉

Once Upon a Time in Hollywood 161分 2019年 アメリカ=コロンビア・ピクチャーズ
日本配給:ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント

毎度お馴染み、クエンティン・タランティーノが個人的な懐古趣味と旧作映画へのオマージュをこれでもかとばかりにぶち込んだやたらと長いコメディ映画。
今回の舞台は1969年のハリウッドで、この年に起こった有名なシャロン・テート惨殺事件を軸に、思い入れたっぷりの独特な世界を構築している。

レオナルド・ディカプリオ演じる主人公リック・ダルトンは1950年代にテレビ西部劇の主役として人気を博しながら、いまでは同じテレビ西部劇で若手が演じる主役相手に悪役ばかりやらされている落ち目のテレビ俳優。
西部劇を製作していた実在のプロデューサー、マーヴィン・シュワーズ(アル・パチーノ)にローマへ行ってマカロニ・ウェスタンに出演しろと言われ、人前でベソをかいてしまうほど情けない人物である。

そのダルトンの親友で、1950年代からダルトンの専属スタントマンをしているのがブラッド・ピット扮するクリフ・ブース。
ダルトンが落ち目になってしまった現在、スタントマンとしての仕事にあぶれ、ふだんはダルトンの運転手兼雑用係を務めており、ダルトンの屋敷のテレビアンテナの修理などという仕事まで嫌な顔ひとつせずに引き受ける。

ディカプリオとブラピの初共演作という当代最高の組み合わせにもかかわらず、実際の彼らとは真逆のタレントをやらせているところがいかにもタランティーノのキャスティングらしい。
映画評論家・町山智浩氏によると、このコンビはスティーヴ・マックィーンと、彼の専属スタントマンだったバド・エイキンスという人物がモデルになっているという。

そのマックィーン本人(ダミアン・ルイス)は、ダルトンとブースが訪れるプレイボーイ・マンションのパーティーの場面にちょっぴり出てくる。
同じパーティーに参加していたロマン・ポランスキーのことを「あのポーランド野郎」と呼び、当時彼の妻だったシャロン・テート(マーゴット・ロビー)を指して、「彼女はそのうちあいつと別れるだろう」などと毒づいている。

思わず噴き出したのは、マックィーンとポランスキーの拳法の師匠だったブルース・リー(マイク・モー)が実名で登場するくだり。
リーがケンカ自慢をスタジオでスタッフに延々と吹きまくり、それを笑ったブースに突っかかって勝負を申し入れ、一度はブースをダウンさせるものの、すぐにブースにやり返され、クルマのボディにたたきつけられて赤っ恥をかく。

マックィーンにしろリーにしろ、実際に彼らがそんなことを言ったりやったりしたのかどうか、映画ファンにとってはなかなか興味深い場面だが、いずれも妙に間延びしており、身を乗り出して引き込まれるところまでは至らず。
これはダルトンが8歳の子役トルーディ(ジュリア・バターズ、実年齢10歳)に愚痴るあたりも同様で、ダルトンが自分の読んでいる小説の主人公はとても惨めでおれにそっくりだ、と嘆いて見せるこの場面、とてもいい雰囲気で役者も好演しているのに、やはりダラダラと長過ぎて締まりがない。

クライマックスではお約束通り、シャロン・テート惨殺事件をネタにしているものの、事件をまともに再現しているわけではなく、意表を突いた暴力描写で驚かせたあと、少々人を食ったオチがつけられる。
といった具合に、僕個人としてはイマイチだったけれど、それでもここ数年の『イングロリアス・バスターズ』(2009年)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)、『ヘイトフル・エイト』(2015年)といったやたらと冗長なタランティーノ作品よりは面白く観られました、ハイ。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

43『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/米)A
42『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年/米)A
41『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年/米)B
40『ワンダー 君は太陽』(2017年/米)A
39『下妻物語』(2004年/東宝)A
38『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年/東宝)C
37『FBI:特別捜査班 シーズン1 #2緑の鳥』(2018年/米)A
36『FBI:特別捜査班 シーズン1 #1ブロンクス爆破事件』(2018年/米)B
35『THE GUILTY ギルティ』(2018年/丁)A
34『ザ・ラウデスト・ボイス−アメリカを分断した男−』(2019年/米)A
33『X-MEN:アポカリプス』(2016年/米)B※
32『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
31『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
30『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
29『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
28『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
27『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
26『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
25『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
24『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
23『大脱出2』(2018年/中、米)D
22『大脱出』(2013年/米)B
21『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
20『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
19『グリーンブック』(2018年/米)A
18『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
17『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
16『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
15『海にかかる霧』(2014年/韓)A※
14『スノーピアサー』(2013年/韓、米、仏)A※

13『前科者』(1939年/米)
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B※

9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る