「まだやってるんですか?」とゴジラ松井に〝ゾンビ呼ばわり〟された思い出⚾🧟

2025年8月27日付東京スポーツ

松井秀喜氏が巨人監督就任会見で行った約8分間のスピーチはとてもよかった。
一つ一つの言葉に説得力と聞き応えがあり、原稿に目を落とすことなく、終始カメラに向かってファンに語りかける真摯な姿は、改めて誠実な人柄を感じさせた。

松井氏は非常に記憶力がよく、細やかな気遣いのできる人物で、たまにしか取材してこなかった僕のようなライターのことも覚えてくれていた。
思い出されるのは昨年8月16日、東京ドームで行われた長嶋茂雄さんの追悼セレモニーに登場し、その後の囲み取材に僕が参加した時のこと。

松井氏の取材はアスレチックスに在籍していた2011年、東スポの仕事で単独インタビューして以来だったから、実に14年ぶり。
挨拶しようとしたら、記者の輪の中に僕を見つけた〝ゴジラ〟は、目を見開いて少々背をのけぞらせ(たように見えた)、こう言った。

「まだやってるんですか? ゾンビだね」

隣にいた某スポーツ紙の松井担当が笑いをかみ殺していた。
せっかく僕を覚えていてくれたのならと、巨人のチーム状態は気にしているのかと聞くと、松井氏は「もちろん!」と即答。

「毎日、試合や成績をチェックしていますよ。
僕は今でもジャイアンツを愛しているし、大切なチームですからね」

翌年5月、巨人OB会長の中畑清さんにインタビューしたら、「松井は長嶋さんに監督をやれと、はっきり言われていると思う」と言われた。
続いて8月、読売首脳に近い筋から「来季は松井監督で固まりつつある」という話を聞いて、松井監督の誕生は近いようだ、と個人的には感じていた。

僕自身の最大の興味は、かつて長嶋監督が松井を主砲に育て上げたように、松井監督はどんな主力選手を育成するのか、だ。
長嶋さんと松井の絆の強さはつとに知られているが、その半面、サードをやりたいという松井の主張を頑ななまでに退け、センターに固定し続けたという経緯もある。

ちなみに、4番候補の1人、高卒2年目の石塚裕惺の定位置は、松井監督の高校時代と同じサード。
ただし、入団当初は近距離の送球に難があったことから、外野もやらせたほうがいいのでは、と指摘する声もチーム内からは聞かれた。

松井監督も新人時代、コーチ陣からスローイングを矯正されていたものだ。
同様の経験を持つ石塚を、松井監督はどのように育てていくのか、他に4番候補となる若手を見出すのか、もっか一番の個人的興味である。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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