『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(IMAX with laser)🤗😱

Spider-Man: Brand New Day
145分 2026年 アメリカ=ソニー・ピクチャーズ・リリーシング
日本配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
@TOHOシネマズ新宿 スクリーン10 2026年8月25日AM11:40~

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のトム・ホランド主演版スパイダーマン・シリーズ第4作。
このシリーズは第1作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)から、第2作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)、第3作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)まで、全作ほぼオンタイムで観ており、今回も映画館へ駆けつけずにはいられなかった。

しかし、前作のスケールはあまりにも大きく、スパイダーマンの先輩トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドが登場し、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の知恵を借りてスパイダーマンの正体(つまりホランド)に関する記憶を全人類から消去してしまう、という壮大なオチがついていた。
それだけに、続編を作るのは難しいのではないか、ガッカリするような出来栄えになっていなきゃいいが、と観る前は一抹の不安を抱いていました。

案の定、アクション場面がつるべ打ちの序盤は既視感が強く、こんなんで面白くなるのかと思って観ていたら、〝敵〟の設定がこれまでと違っていることに気づかされ、グッと引き込まれた。
本作のスパイダーマンの相手は前作までのようにわかりやすい〝絶対悪〟のヴィランではなく、様々な人間に憑依する〝目に見えない〟悪霊のような存在として現れる。

〝敵〟は乗り移った人間にニューヨークの街を戦車で暴走させたり、ヘリコプターで護送している凶悪犯を逃亡させたりしてスパイダーマンを翻弄し、やっと捕まったと思ったら、誰も彼も「何があったんだ? 何も覚えていない」という記憶喪失状態。
この〝敵〟がピーター・パーカーの元カノMJ(ゼンデイヤ)に取り憑くに及び、心理的サスペンスもたっぷりで、手に汗握る展開に入っていく。

一方で、そのMJやネッド・リーズ(ジェイコブ・バタロン)など、第1作から連綿と続く高校時代の仲間たちとの友情、もう一度友として彼たちと触れ合いたいと苦悩するパーカーの葛藤も、人間ドラマとしての大きな見どころとなっている。
第1作から10年、ホランドも19歳から30歳になり、パーカーは第1作でアイアンマン(ロバート・ダウニー・ジュニア)にアベンジャーズに入れてくれとせがんでいた子供から、正体を隠してNY市警に協力するハードボイルドなヒーローへと成長を遂げた。

ガーフィールド版の『アメイジング・スパイダーマン』(2012)もそうだったように、最初から大人のヒーローとして登場するアイアンマンやハルクと比べ、正体が少年に設定されているスパイダーマン・シリーズには、ビルドゥングスロマン(教養小説)としての側面がある。
それが本シリーズが10年もファンに支持され、息長く製作され続けている大きな理由のひとつだろう。

クライマックスではパワーアップした〝敵〟が思わぬ超能力を発揮し、スパイダーマンのお株を奪う大暴れ。
ブライアン・デ・パルマの『キャリー』(1976)や『フューリー』(1978)を思い出した、という僕と同世代の映画ファンも少なくないと思うけど、ネタバレになるのでこれ以上は書かずにおきます。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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