
第1刷:2026年6月5日
著者は法学を専門とする香川大学の名誉教授で、九州大学大学院法学研究科を卒業しており、元国家資格キャリアコンサルタントを務めた経験もある。
そういう詐欺犯罪対策の専門家と言ってもいいような人物が、世間で横行しているロマンス詐欺に引っかかり、925万円を騙し取られた。
恥を忍んで自らの経験を赤裸々に綴った本が出版されると、著者自らテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』にスタジオ生出演。
その番組をたまたま家で観ていて興味を覚え、さっそく購入しようとしたら、ネット書店のAmazonや楽天でも、リアル書店の紀伊國屋や三省堂でも一時的に品切れ状態となっていた。
たぶん、俺と同様、明日は我が身、実情を知りたい、と感じた高齢男性が買いに走ったんだろうな。
オールドメディアとはいえ、全国ネットのテレビ番組の影響力はまだまだ大きい。
著者が引っかかったSNSの詐欺アカウントとは、僕も2度ほど興味本位にやり取りをしたことがある。
プロフ写真はネットで拾ったモデルかタレントらしく、こちらに寄越す文面は明らかに外国人で、恐らく男性とわかるたどたどしい日本語。
ふん、こんな子供騙しの手口にハメられるものか、と思いながら面白がって返事を返していたのだが、こんなふうにノセられていること自体、相手に取り込まれつつあるのではないか、とふと思った。
そこで、「あなた、本当は中国人男性ではありませんか」と聞いたら、相手のほうからやり取りを打ち切った。
本書の著者も何度もそういう疑念を抱きながら、詐欺師に言われるがままに、指定された口座に大金を振り込んでいる。
その最も大きな要因は、定年後の生活における孤独、社会からの隔絶感、そういう自分とつながりを持ってくれる魅力的な異性(大抵の場合は若い女性)への執着だろう。
そして、本書で筆者が何度も強調しているように、そういう根源的な感情は、時に理性では制御し難い時がある。
本書の読者には、なんでこんな女に騙されて何万(あるいは何十、何百万?)も注ぎ込んでしまったんだろう、と後になって後悔した経験を持つ男性も少なくないはずだ。
そういう意味で、大変身につまされる本である。
著者と同様、定年後に暇な時間が増え、SNSにハマっている高齢男性にはぜひお勧めしたい。
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