
太平洋戦争中、上官の命令に従ってアメリカ兵の捕虜を処刑した理髪師が、復員した後に逮捕され、有罪判決を受けて死刑にされてしまう。
戦後になってもなお、兵隊に取られた一般市民を襲った悲劇的を重く暗いタッチで描いた反戦映画の傑作。
監督・脚本・原作は最初のテレビドラマ版を作り、このリメイク映画版も高く評価され、日本映画界最大の脚本家としての名声を築いた橋本忍。
ただし、「私は貝になりたい」という秀逸なタイトルは橋本のオリジナルではなく、元陸軍中尉による元ネタの小説があり、クレジットをめぐって一時係争状態にあったという。
そうした裏事情はともかく、戦争や軍隊によって人生を狂わされ、ついには命を奪われる不条理が残酷なまでにきっちり描かれていることは確か。
もっとも、橋本自身はのちに、そんな高邁な文学的意図などなく、当時映画界で流行していたお涙頂戴劇「母物」をやってみたかったのだと明かしている。
それでも、2008年にリメイクされた際には橋本自ら脚本を執筆し、高く評価され、最初のテレビドラマ版から数えると3度目のヒット作となった。
主演の中居正広が不祥事を起こして芸能界を引退したため、ネット配信、ビデオソフト製作が中止されたのは残念というほかない。
オススメ度A。
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