『ワン・バトル・アフター・アナザー』(WOWOW)😉

One Battle After Another
162分 2025年 アメリカ=ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

第98回アカデミー賞授賞式で作品賞をはじめ、ポール・トーマス・アンダーソンが監督賞と脚色賞を獲得した大ヒット作。
例によって何の予備知識もなく観て、中身自体はよくある犯罪アクションだろう、と思ったら、これまで観たことのないブッ飛んだ設定に驚かされた。

アメリカ政財界の裏側には黒人差別集団KKKの後継団体とも言うべき秘密組織「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」があり、白人エリートだけで強い結束力を誇っている。
そんなエリート黒幕集団の向こうを張り、アメリカ帝国主義打倒を目指し、強盗や襲撃を繰り返しているのが極左革命集団「フレンチ75」。

主人公レオナルド・ディカプリオは「フレンチ75」の主要メンバーで、その「フレンチ75」を壊滅させて「クリスマス」入りを狙っている軍人がショーン・ペン。
ところが、ペンは黒人女が大好きという性癖の持ち主で、ディカプリオとの間に一人娘シャーリーンをもうけたテヤナ・テイラーを執拗に付け狙い、逆にテイラーにレイプされてしまう。

16年後、成長したシャーリーン(チェイス・インフィニティ)を自分の娘と信じ込んだペンは、彼女の存在を知られたら「クリスマス」に入れなくなるため、探し出して抹殺しようとする。
そこに本当の父親であるディカプリオが立ちはだかる、というのがストーリーの大まかな流れ。

こういう設定と物語、日本人にはほとんど馴染みがなく、アメリカ人にとってもリアリティがあるのかどうか、不勉強にしてよくわからない。
ただ、戸惑いながら観ていたら、知らず知らずのうちに引き込まれてしまったのも確か。

主演はディカプリオなのだが、ペンの演じるキャラクターと演技があまりにも強烈で、こちらのほうが主人公のように見える。
また、『マグノリア』(1999)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)、『ファントム・スレッド』(2017)のようなポール・トーマス・アンダーソンの過去の傑作群に比べると〝遊び〟が多いのも大きな特長だろう。

ただし、そのぶん、こちらの胸にズシンと響くような重厚感は希薄で、不必要に思えるシーンも少なくなく、2時間半以上はちょっと長過ぎるようにも感じられた。
楽しめることは楽しめるし、評価が高いのもうなずけるけれど、ポール・トーマス・アンダーソン作品としては傑作とまでは言えないかな、というのが個人的感想です。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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