『崖上のスパイ』(WOWOW)😉

懸崖之上/Cliff Walkers
120分 2021年 中国
日本公開:2023年 配給:アルバトロスフィルム

中国の巨匠チャン・イーモウが満州国時代のハルビンを舞台に、祖国のために命懸けのスパイ活動を続ける共産党員を描いたサスペンス・アクション映画。
雪の降りしきる山中にチャン・シエンチェン(チャン・イー)、ワン・ユー(チン・ハイルー)、シャオラン(リウ・ハオツン)、チュー・ヤン(チュー・ヤーウェン)ら4人の男女が落下傘で降下するオープニングから一気に引き込まれる。

彼らはソ連で訓練を受けた筋金入りのスパイで、目的はハルビンにある日本政府の拘留施設に囚われた同志を救出すること。
任務の名称「ウートラ作戦」とはロシア語で夜明けを意味しているという設定からして、いかにも中国製英雄譚的雰囲気が漂う。

一方、ハルビンの特務警察では山中への降下直後から4人の行動を察知し、ガオ科長(ニ・ダホン)が部下のジョウ・イー(ユー・ホーウェイ)、ジン・ジーダー(ユー・アイレイ)に捜索するよう指示。
ところが、特務警察の中にも共産党の内通者がいて、その人物がガオの前ではしらばっくれた演技をして見せたり、それをまたガオの密命を受けた別の警察官が秘かに見張っていたり、観ているうちにいったいどっちがどっちなのかわからなくなってくる。

さらに、当初は落下傘部隊の4人が主役だったのが、ひとり、またひとりと特務警察に捕らえられてしまい、内通者のほうが前面に出てきてストーリーをリードし始める。
これ以上はネタバレになるので詳しくは書けませんが、少々観る側を混乱させる展開はこの映画の大きな見どころでもあります。

ただ、正直言って、その割にいまひとつハラハラしないのは、共産党員、特務警察とも、あまりにもステロタイプの善玉、悪玉として描かれているからでしょうね。
エンドクレジットに出てくるイーモウ監督の政治的メッセージも、個人的にはちょっとなあ、と思いました(そういう映画なんだからと言われればそれまでですが)。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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