『キングメーカー 大統領を作った男』(WOWOW)🤗

킹메이커
123分 2021年 韓国
日本公開:2022年 配給:ツイン

1998年に第15代韓国大統領となった金大中(キム・デジュン)と、彼の選挙参謀を務めた厳昌録(オム・チャンノク)の実話をベースとしたポリティカル・サスペンス。
キム・デジュンはキム・ウンボム(ソル・ギョング)、オム・チャンノクはソ・チャンデ(イ・ソンギュン)と名前を変えてあり、冒頭に「事実を元にしたフィクション」というテロップが出る。

新民党の大統領候補ウンボムは、韓国の民主化に邁進する政治的ヒーローのように描かれており、朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代から日本との関係が深く、流暢な日本語を話していた実在のキム・デジュンをわれわれ日本人に思い起こさせる。
チャンデはそんな理想主義者のデジュンに心酔していながら、ウンボムを選挙で勝たせるためなら手段を選ばず、スタッフに政敵の共和党員を騙らせて選挙民に嫌がらせをしたり、共和党の贈賄品を選挙民から取り上げて民主党の票集めに利用したりと、相当に悪どい真似も辞さない。

とりわけ面白いのは、パク・チョンヒをモデルとするパク・キス(キム・ジョンス)、中央情報部から不当な弾圧を受けているように装い、自作自演のネガティブ・キャンペーンを張っているところ。
チャンデが新民党内部のウンボムのライバル、金泳三(キム・ヨンサム)をモデルとしたキム・ヨンホ(ユ・ジェミョン)ら有力議員の間を巧みに立ち回り、ウンボムを新民党の大統領候補に押し上げるくだりも興味深い。

しかし、策士策に溺れるの諺通り、チャンデの悪巧みが暴露され、ウンボムに切り捨てられるときがくる。
急展開するクライマックスはどこまで事実なのかわからないが、これほど一気に見せるポリティカル・サスペンスは近頃珍しく、人間ドラマとしても見応えたっぷりの出来栄えと言っていい。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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