『コーダ あいのうた』(WOWOW)🤗

Coda
111分 2021年 アメリカ、フランス、カナダ PG12
アメリカ配給:Apple TV+(配信のみ)
日本劇場公開:2022年 配給:ギャガ

WOWOW毎年恒例、第95回アカデミー賞授賞式の生放送に併せてオンエアされた、前回(第94回)アカデミー作品賞を受賞した感動作。
助演男優賞にノミネートされたトロイ・コッツァーが聾者として初めてオスカーを獲得したことでも話題になった。

そのコッツァーは今年の授賞式で助演男優賞・女優賞のプレゼンターとして登場。
話題作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティスを手話で祝福し、会場を大いに盛り上げている。

コッツァー自身が脚光を浴びた本作は、主要キャラクターが交わす会話の半分以上が手話。
下ネタや4文字言葉が頻出し、かなり露骨な性行為のシーンもあるのだが、観終わるころにはしっかり感動させられ、目に涙が滲みました。

舞台は漁業が盛んなマサチューセッツ州の港町グロスター、主人公は漁師の家に生まれ育った女子高校生ルビー・ロッシ(エミリア・ジョーンズ)。
彼女以外は漁師の父フランク(コッツァー)、母ジャッキー(マーリー・マトリン)、父の仕事を手伝っている兄レオ(ダニエル・デュラント)と3人の家族全員が聾者で、ルビーが聴者との通訳を務めている。

ルビーは高校の合唱部に入り、顧問の音楽教師ベルナルド・ヴィラロボス/V先生(エウヒニオ・デルベス)に歌の才能を認められ、バークリー音大へ進学するよう熱心に勧められる。
が、そうした最中、一家のほうは港湾監視員と沿岸警備隊から聾者が漁船を操縦していることを問題視され、操業停止を通告されてしまった。

おまけに、港町を仕切る魚の仲買人にも手数料を大幅に値上げすると恫喝され、これでは生活できないと耐えかねたフランクが激怒。
漁師仲間とともに漁業組合から独立し、仲買人を頼らず、家族総出で収穫した魚の小売を始める。

おかげでロッシ一家は大忙しとなり、テレビ局が取材にやってくるため、ルビーは以前にも増して通訳に追われる日々。
そのため、V先生の個人レッスンにもしょっちゅう遅刻を繰り返し、「このままではバークリー音大への進学なんかできないぞ!」と突き放されてしまう。

聾者のフランクとジャッキーが「家業を手伝え」「おまえがいなければどうにもならない」とルビーに迫るシーンは、手話だから当然声は聞こえないのだが、パンパンパン! と手を打つ音が激しい口調のように感じられ、思わず聞き入るように見入ってしまう。
医者にインキンタムシと診断されたフランクが医者から「最低2週間はセックスを控えるように」と言われると、手を振り回して「そんなに我慢できるか!」と反論したり、ルビーの恋人マイルズ(フェルディア・ウォルシュ・ピーロ)に「娘とセックスするときはコンドームをしろ!」とまくしてたりするシーンも、手話ならではの迫力があるとともに、どこかホノボノ感も感じさせる。

いったん進学を断念したルビーに、家族が徐々に理解を示すようになる過程もごく自然に描かれていて、観ていて気持ちがいい。
ただ、ここまで丁寧な描写を積み重ねていただけに、クライマックスはBGMに乗せて流すような処理をせず、もう一粘りしてじっくりと見せてもよかったような気もしましたけどね。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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