今年の都市対抗取材、ここが変わった、面白かった、予想外だった⚾️

都市対抗の電光掲示板にはアナログ式時計がある(画像は第1試合・東京ガスーJR東海)

第93回を迎えた社会人日本一を決める都市対抗野球大会、今年は3年ぶりに夏に開催されることになった。
新型コロナウイルスの感染拡大、東京オリンピックの1年延期などにより、昨年までの2年間は11月下旬~12月上旬に行われていたが、やっとコロナ前の夏に戻ってきたのである。

報道陣も観客もマスク着用、声を出しての応援は禁止、ブラスバンドの演奏が行われる周辺は空席を作ってソーシャルディスタンスを保つ、といった制約はあるものの、入場者数の上限も3年ぶりに撤廃。
僕と昔馴染みの中継アナウンサーが実況していたように、アマチュア野球の夏の風物詩のひとつが帰ってきた感がある。

試合後の取材も、Zoomを使ったリモートから、監督や選手と直接顔を合わせる囲みが復活。
僕自身、3年ぶりに東京ドームの地下1階にあるインタビュールームに足を運んだ。

巨人戦の試合前練習をスタンドで見ている時は、早くここまで降りられるようにならないかとムズムズしていたので、感慨とまでは言わないけれど、それなりの久々感がありましたね。
球場での試合後囲み自体も3年ぶりで、まだ興奮を引きずっている監督や選手の生の声を聞くと、やっぱり取材は対面でなけりゃ、と改めて実感。

そうした中、この日最も印象的だったのは、開幕戦となった初戦でJR東海に競り勝った東京ガスの主将、笹川晃平外野手(28)。
七回、ライト前ヒットで一塁へ駆け込んだ際に足が攣り、応急処置をして出場を続け、次打者のヒットで二塁へ走ったら、さらに攣り具合が悪化したらしく、ここで代走の選手に交代となった。

試合後も覚束ない足取りだったから、ひょっとしたら肉離れでもしたんじゃないかと思ったが、実は複数の箇所が攣ったのだとか。
野球の取材を始めて30年以上、プレー中にそんなことが起こるなんて、初めて聞きました。

ただ、連覇を目指す東ガスは昨年の優勝によってシードされており、予選を経ずにこの本大会に出場しているため、地区大会を勝ち上がってきた他チームに比べると、やはり調整不足は否めない。
笹川は主将としてそういうチームを引っ張る立場にある上、開幕セレモニーでは人生初めての選手宣誓も務めていた。

そうした有形無形のプレッシャーが重なって、下半身のあちこちが攣る原因になったんじゃないかな。
なお、東ガスでは開幕投手としてマウンドに上がった益田武尚(24)も社会人で初の完投、完封と好投したことも書き留めておきます。

注目選手の大阪ガス・河野は5回もたず降板

さて、この日一番の注目選手、今秋ドラフトの目玉と言われる大阪ガス・河野佳投手(20)は第3試合のJR東日本戦に先発。
巨人・水野スカウト部長をはじめ、大勢のスカウトが視察にやってきた中、残念ながら、1イニング3本塁打などで5失点、4回3分の1で降板となりました。

その上、チームも大敗して2-13でコールド負け。
地方予選ならともかく、都市対抗の本大会でコールドゲームを見ることになるとは、完全に予想外だった。

結構衝撃を受け、ネット裏の記者席から1階のコンコースへ行き、囲み取材の案内を待っていたら、ここでなんと、元巨人の広報担当・香坂英典さんにバッタリ!
JR東日本の永野将司投手(29)の応援に来ていたのだそうで、これまた大いに驚かされた。

香坂さんと永野投手とのつながりについては、都市対抗期間中のネタとしてこの先に取っておきます。
きょうは一日3試合もみっちり取材して、ヘトヘトに疲れちゃったので。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る