『クワイエット・プレイス』(WOWOW)🤗

A Quiet Place
90分 2018年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ 日本配給:東和ピクチャーズ

オープニングで壊れた信号機がアップで映され、カメラがパンすると、荒れ果ててゴーストタウンと化した片田舎の小さな町、リトル・フォールズの商店街の全景が広がる。
続いて、「89日目」というテロップ。

無人のスーパーマーケットにいる5人家族が、声を出したり、物音を立てたりしないよう、異様なまでに注意して生活必需品を調達している姿が描かれる。
家族のリーダーはリー・アボット(ジョン・クラシンスキー)、その妻イヴリン(エミリー・ブラント)は妊娠中、長女リーガン(ミリセント・シモンズ)は難聴者、その下に長男マーカス(ノア・ジュープ)、次男ボー(ケイド・ウッドワード)と弟がふたり。

彼らが必要な物を持ち出し、歩いて自宅へ帰る途中、ボーが持ち出したスペースシャトルのオモチャが突然大きな音を立てると、怪物が猛スピードで襲いかかってくる。
そうした描写の積み重ねから、世界中が人声や物音に反応する怪物に支配されており、「89日目」に達していることがわかってくる。

果たして、何の武器も持たないごくふつうの家族は、この救い難い世界でどのように生き抜いていくのか。
物語は472日目〜473日目に飛び、怪物に追い詰められるクライマックスに雪崩れ込んでいく。

ジョン・クラシンスキーは本作の監督・脚本を手がけており、ブラントは実際に彼の妻で、制作当時は現実に妊娠していた。
また、リーガンを演じるシモンズも本当の聾者だという。

設定自体は突飛ながら、徹底的にリアリズムを追求した配役と演出は迫力たっぷりで、1時間半、文字通り息をもつかせない。
ポスターのコピーにもある通り、アメリカで劇場公開されると大ヒットしたのも十分うなずける出来栄えである。

ただ一点、不満というか、既視感を覚えたのは、『デッドリー・スポーン』(1983年)にそっくりな怪物のビジュアル。
そんな大昔のSFホラー、今時の観客は誰も観てないよ、と言われたらそれまでですが。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

42『TOKYO VICE』#4虎穴虎子(2022年/WOWOW、HBO Max)B
41『TOKYO VICE』#3精神一到(2022年/WOWOW、HBO Max)C
40『ドニー・ダーコ』(2001年/米)B
39『スーパーマン&ロイス』シーズン1(6)「パワーの代償」(2021年/米)B
38『スーパーマン&ロイス』シーズン1(5)「スモールビルの良心」(2021年/米)B
37『TOKYO VICE』#2起死回生(2022年/WOWOW、HBO Max)B
36『TOKYO VICE』#1新聞記者(2022年/WOWOW、HBO Max)B
35『ふたりのウルトラマン』(2022年/NHK)A
34『スーパーマン&ロイス』シーズン1(4)「波乱の幕開け」(2021年/米)B
33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
31『すばらしき世界』(2021年/ワーナー・ブラザース)A
30『私は確信する』(2018年/仏、白)C
29『透明人間』(2020年/米)A
28『アナザーラウンド』(2020年/丁、蘭、瑞)A
27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
26『スーパーマン&ロイス』シーズン1(1)「パワーの目覚め」(2021年/米)A
25『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
24『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(1967年/東映)B
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る