『フラッシュ・ゴードン』(NHK-BSP)😉

Flash Gordon
111分 1980年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ 日本公開:1981年 配給:20世紀フォックス

原作は1930〜40年代に人気を博した新聞連載の同名漫画で、1936年に13本制作された実写映画化版『超人対火星人』のリメイク作品でもある。
その映画化版の大ファンだったジョージ・ルーカスが自らリメイクしようと考えていたところ、イタリアの大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスに先に権利を買われてしまい、それならばとオリジナルの『スター・ウォーズ』(1977年)を作ることになった、というのは映画ヲタクの間では有名な話。

その『スター・ウォーズ』のシリーズ全作で画面の手前から奥へと説明文が流れていくオープニング・クロールの元ネタが、実は『超人対火星人』だった。
しかし、『スター・ウォーズ』2作のあとで公開された本作は、正統的リメイク作品にもかかわらず、ルーカスにしてやられたとラウレンティスが思ったのか、いまさら冒頭で同じ手法は使えないからか、クイーンの主題歌と原作のイラストを使った独自のオープニングにしており、これがなかなかカッコいい。

主人公フラッシュ・ゴードン(サム・J・ジョーンズ)は原作では冒険家だったようだが、本作ではアメフトのスター選手で、ニューヨーク・ジェッツのQBに変更されている(ジョーンズ自身も元アメフト選手だったと言われるが、詳細は不明)。
そのフラッシュが元NASAの科学者ハンス・ザーコフ(トポル)の作ったロケットに乗り、地球に災厄をもたらすモンゴ帝国のミン皇帝(マックス・フォン・シドー)をやっつける。

ただし、あくまでも漫画の映画化ということで、テレビ出身のマイケル・ホッジス監督は『スター・ウォーズ』よりもファンタジー性とコメディタッチを強調。
最初のうちは反目しあっていた樹木族のバリン公(ティモシー・ダルトン)、鷹族のバルタン公(ブライアン・ブレスド)らと手を組んでミン皇帝に立ち向かっていく過程を面白おかしく描いている。

とくに、ミン皇帝の差し金で対決させられる羽目になったフラッシュとバリン公が、ゆらゆらと揺れる円盤の上で、下から突き出てくる尖った杭を避けながらくんずほぐれつするシーンが笑える。
いま観ると、セットが安っぽく、アクションもモタモタしていて野暮ったい感じもするけれど、元ネタはザラ紙の新聞に載っていた漫画なんだからね。

漫画映画ってなあ、今時のマーベル印やDC印みたいに、妙に生真面目に作るだけが脳じゃねえんだよな。
と思いました、もうすぐ60歳のオールドファンとしては。

オススメ度B。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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