エースとルーキーの現在地⚾️

試合開始直前、菅野の表情

早いもので、2年ぶりに行われている交流戦も、東京ドームの巨人主催試合はきょうの日本ハム戦が最後。
そういうゲームで巨人のエース菅野智之が1カ月ぶりに復帰登板し、対する日本ハムは球団史上初の北海道出身ドラフト1位新人・伊藤大海がマウンドに上がった。

日本ハムはかつて東京ドームを本拠地としており、現在も1シーズンに数試合主催試合を行っている。
だから、伊藤と日ハムにとっては、関東在住のファンの前で今年のドラ1ルーキーをお披露目するという意味合いもあったわけです。

原、栗山両監督が示し合わせて仕組んだことではないにしても、ファンにとっては結構ワクワクさせられる顔合わせが期せずして実現。
これで菅野、伊藤が双方相譲らぬ力投を披露してくれれば、日曜のデーゲーム、〝東京ドーム最後の交流戦〟にふさわしい好試合になったはず。

しかし、こういうお膳立ての整った試合ほど、得てして期待通りにはいかないもの。
最初にマウンドに上がった菅野は、まだ離脱の原因となった右肘の違和感が完全に払拭できていないのか、見るからに身体が重そうで、直球も変化球もキレに乏しく、何よりリズムとテンポが悪い。

初回に内野ゴロで先制点を献上し、二回には王に左翼越えソロ本塁打を浴び、最終的には5回3安打2失点で降板。
原監督としては、1カ月ぶりの実戦であることを考慮して気心の知れた小林誠治と組ませたのだろうが、それ以前に菅野本来の躍動感がいまひとつ感じられなかった。

首脳陣としては、病み上がりで1カ月のブランクがあったことから、この日の菅野の投球内容は一応〝想定内〟と捉えているらしい。
シーズンオフにメジャーリーグへ再挑戦するかどうかも注目される中、メジャーのスカウトたちの目にきょうの菅野はどのように映っていただろう。

菅野の降板後も力投を続ける伊藤

一方、日ハムのルーキー・伊藤は7回を2安打1失点にまとめ、リリーフ陣が追いすがる巨人を振り切り、4-2で3勝目を手中に収めた。
四球4個のうち2個が2死からと、コントロールに難点もあるものの、まだまだ未完成な部分が多い投手なので、短所も伸びしろのうちと解釈したい。

ヒーローインタビューでは、「相手の先発が菅野さんだったので、絶対に先にマウンドを降りないぞ、と思って投げました」と新人らしい前向きなコメント。
「要所要所で自分のいいところを出せた」と言う半面、「まだまだ未熟な部分や課題も多いので、これからも1試合1試合、成長していきたいと思います」と、自分の足元をしっかりと見つめた言葉に好感が持てました。

なお、そんな伊藤をアシストしたダメ押しの4点目は4番・中田のタイムリーによるもの。
会心の一発ではないから、それほどうれしそうな顔はしていなかったけれど、これを復調のきっかけにしてもらいたいものです。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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