奥川、三回途中5失点KOデビュー⚾️

きょうは神宮球場でヤクルトの今季最終戦でした。
最下位のヤクルトと5位のカープの試合なのだから、完璧な消化試合なんだけど、ドラフト1位新人・奥川恭伸(星稜)が待ちに待った先発デビュー。

しかも、広島球団初の5年連続打率3割を狙う鈴木誠也が、スタメンで1番に入る。
4年連続3割打者の山本浩二、正田耕三、前田智徳を超えようとする誠也に、プロ初登板の奥川がいきなりぶつかるという、非常にそそられる対戦が組まれたのです。

そこで、夜6時試合開始なのに、張り切って午後1時過ぎに神宮へ行ったら、まだ東京六大学の新人戦・立大-東大戦が始まったばかり。
ファミマで買ったおにぎりを持ってスタンドに上がると、昔馴染みのアマ野球担当記者がいて、今年のドラフトにかかった有力選手について、いろいろな情報を仕入れることができました。

六大学新人戦は8-5で立大が東大に勝利

ちなみに、彼のこの日の目的は、午後3時から神宮の会議室で開かれた六大学連盟主催による「プロ入りする選手のための研修会」。
六大学では毎年、ドラフトにかかった選手たちを招集し、契約、報酬、マスコミ対応などに関する様々なレクチャーを行っており、この日は楽天1位・早川隆久(早大)、ロッテ1位・鈴木昭汰(法大)、DeNA1位・入江大生(明大)、ヤクルト1位・木澤尚文(慶大)らがそろって参加していた。

きょうのスタメン表

さて、前置きが長くなったけれど、今季最も注目されていたドラ1ルーキー、奥川のデビュー戦はどうだったか。
スタメン紹介で彼のイメージビデオが流され、奥川がマウンドに上がったときはお客さんも大いに沸いて、いいピッチングを期待したんですけどね。

座右の銘は古葉竹識・元広島監督の「耐えて勝つ」
このときはスタンドからも大きな拍手が沸き起こった
登板前の投球練習

結果は三回途中、2回3分の0、1本塁打を含む9安打5失点でKO。
この日詰めかけた1万4456人のお客さんにはもちろん、昨年の春夏、甲子園で奥川の好投を見ていた僕にとっても、大変残念な結果に終わってしまった。

初回の立ち上がり、鈴木誠、田中広輔、長野久義、松山竜平と並んだ上位打線に徹底して真っ直ぐで押したところ、松山のタイムリーなどで瞬く間に2失点。
それならばと坂倉将吾、堂林翔太あたりから変化球主体の攻め方に変えたものの、フォークや縦のカーブが多く、あの軌道のきれいな横のスライダーがほとんど見られない。

当然のことながら、試合後のインタビューや囲み取材は行われず、奥川は広報を通じて、「状態としてはあまり良くなかったです」とコメント。
「初めてのマウンドにも対応できなかったし、修正が出来ないままズルズルといってしまい、早い回での降板は非常に悔しいです」と話していたそうです。

しかし、いまやニューヨーク・ヤンキースの先発の柱に成長した田中将大も、2007年の楽天でのデビュー戦は1回3分の2、6安打6失点で、きょうの奥川よりも早くマウンドを降りている。
今夜の散々なデビュー戦でかえって将来が楽しみになった、ということにしておきましょう。  

一方、カープの鈴木誠は首尾良く3打席連続安打をマークし、5年連続打率3割の〝球団新記録〟を達成してベンチへ。
思わず、その背中に「球団も佐々岡監督も気を使ってるんだから、メジャーへ行くのはもうちょっと待ってくれよ」と言いたくなった。

試合終了後、ファンに挨拶する高津監督

試合終了後には、毎年恒例のセレモニーで高津監督が挨拶に立ち、今季は最下位に終わったけれども、若い力が着実に育っていることをアピール。
きょうのデビュー戦で負け投手になった奥川をマイクの前に呼び寄せ、「来年は頑張ります!」と誓わせる粋な演出を見せた。

さらに、「カープのみなさん、今年も神宮を真っ赤に染め上げてくれてありがとうございました」と、カープへの労いとエールも忘れなかった高津監督。
「来年は5位、6位争いではなく、ぜひ優勝争いをしましょう!」と呼びかけたときは、少々胸が熱くなりました。

なお、きょうでA先生の今シーズンの公式戦取材もすべて終了です。
ヤクルト、カープのみなさん、今年もまた一方ならぬお世話になり、本当にありがとうございました。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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