『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン3』(WOWOW)🤗

House of Cards: Season 3 全13章 各章43〜59分 2015年
 アメリカ=ネットフリックス、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン

シーズン2でギャレット・ウォーカー前大統領(ミシェル・ギル)を騙して弾劾裁判による辞任に追い込み、まんまと大統領の座をせしめたフランク・アンダーウッド(ケヴィン・スペイシー)だったが、シーズン3ではのっけから窮地に立たされる。
ボブ・バーチ下院院内総務(ラリー・パイン)をはじめとする民主党幹部たちを大統領執務室に招集するや、あんたは支持率が低い、イメージも悪い、2016年の大統領選には出馬しないでくれ、と責め立てられて右往左往。

そこでアンダーウッドは、よしわかった、立候補はしないから新政権一番の売り物、失業対策の「アメリカ・ワークス」を議会で承認させろ、施行のための予算も寄越せと強権を発動。
言うことを聞かない部下は容赦無くクビを切り、妻クレア(ロビン・ライト)を本人の望み通り国連大使に任命して、紛争の続くヨルダン渓谷へのPKO軍派遣も周囲の反対を押し切って強行する。

シーズン1のアンダーウッドは第9章まで感情を露わにせず、これがスペイシーの個性にも合っていて、独特の不気味さを感じさせた。
ところが、副大統領に昇格したシーズン2から次第にヒステリックになり、大統領にまでのし上がったシーズン3での暴君ぶりは、正直言って〝悪のカリスマ〟的魅力を削ぎ、いささかリアリティを欠いているようにも思う。

そんなシーズン3の〝陰の主役〟は、度重なる失態でアンダーウッドに首席補佐官の座を追われたダグ・スタンパー(マイケル・ケリー)だ。
かつて下院議員ピーター・ルッソ(コリー・ストール)殺しに協力させた売春婦レイチェル・ポズナー(レイチェル・ブロンズナハン)を始末しようとして逃げられ、アンダーウッドから遠ざけられたスタンパーは、アンダーウッドのライバル、ヘザー・ダンバー商務長官(エリザベス・マーヴェル)に接近。

ダンバーはシーズン2の弾劾裁判を主導し、ウォーカー前大統領を辞任、実業家レイモンド・タスク(ジェラルド・マクレイニー)を逮捕に追い込んだ民主党きっての女傑。
彼女に大統領選に立候補されてはまずいと考えたアンダーウッドは、アルツハイマー病を発症したジェイコブス最高裁判事(ジョナサン・ホーガン)の後任に就任してもらいたい、と持ちかける。

しかし、アンダーウッドの本音と企みを見抜いたダンバーは、いったん受諾するかのような態度を取っておいて、突然次期大統領選に立候補すると宣言。
自分にすり寄ってきたスタンパーにクレアの中絶手術に関する秘密を打ち明けられ、秘かにアンダーウッドを呼び出し、大統領選から降りるように迫る。

この敵役となる女性商務長官、シーズン2の終盤から見せ場をさらっており、演ずるマーヴェルもなかなかの熱演。
ところが、決定的な証拠を掴む前にダンパーがアンダーウッドとの直談判に及んで自ら墓穴を掘り、スタンパーにも寝返り打たれてしまうあたり、いささか腰砕けの印象を残した。

その点、ロシア大統領ヴィクトル・ペトロフ(ラース・ミケルセン)の弾けたキャラクターはまことに強烈。
米露大統領がふたりそろった記者会見でクレアに罵倒された恨みを忘れず、ヨルダン渓谷からのロシア軍撤退を条件に、クレアの大使辞任をアンダーウッドに迫る場面はこのシーズン最高の見せ場だった。

スタンパーがアンダーウッドの首席補佐官として元鞘に収まり、今度は報道官のセス・クレイソン(デレク・セシル)との関係が微妙になる、という展開は連続ドラマとしては非常にうまい。
スタンパーの復帰が決定的原因となって、アンダーウッドとクレアとの夫婦関係にも亀裂が生じ、クレアがアイオワ州とニューハンプシャー州の選挙活動に同行せず、ホワイトハウスから出て行く、というところでシーズン3は終了。

というわけで、ツッコミどころは多いが、やっぱり面白いんだよなあ
このあとすぐ、シーズン4の1回目(第40章)を観ないではいられませんでした。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

92『FBI:特別捜査官 シーズン1 #19白い悪魔』(2019年/米)B
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31『THE GUILTY ギルティ』(2018年/丁)A
30『ザ・ラウデスト・ボイス−アメリカを分断した男−』(2019年/米)A
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28『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
27『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
26『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
25『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
24『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
23『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
22『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
21『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
20『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
19『大脱出2』(2018年/中、米)D
18『大脱出』(2013年/米)B
17『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
16『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
15『グリーンブック』(2018年/米)A
14『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
13『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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