『ドライヴ』(WOWOW)

Drive

本職はしがない自動車修理工、副業は映画のカースタント・ドライバー、しかしてその実態は、犯罪者の逃走を請け負う凄腕の〝逃がし屋〟。
 という劇画チックなキャラクターを当代きってのイケメン俳優ライアン・ゴズリングが演じる犯罪アクション映画で、劇場公開当時は結構ヒットした。

 もっとカーアクションに特化した映画かと思ったら、主役のゴズリングをカッコよく描くことに重点が置かれている。
 最初はクールでハードボイルドだった主人公が、アパートの隣室で暮らす子持ちの人妻キャリー・マリガンに好意を抱くようになり、彼女を救おうとして自らも窮地に追い込まれる。

 スタイリッシュな映像、スピーディーな展開、テンポのいい演出と、どれを取っても及第点で、熱狂的なファンがいるのもうなずけなくはない。
 が、どうも昔の映画や劇画で見たり読んだりしたような既視感がつきまとう。

 一見、細面で頼りなさげなゴズリングが意外にケンカをやらせても強い、という設定もいかがなものか。
 相手の顔が血みどろのグチャグチャになるまでストンピングを見舞う場面はやり過ぎじゃないかな。

 監督はやはりスプラッター趣味が鼻に突いた『ネオン・デーモン』(2016年)のニコラス・ウィンディング・レフン。
 本作でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞しているが、それほど際立った出来映えには思えませんでした。

 オススメ度C。

(2011年 アメリカ=フィルム・ディストリクト/日本配給2012年 クロックワークス 100分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

46『バーニング・オーシャン』(2016年/米)A
45『追憶の森』(2015年/米)B
44『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017年/ワーナー・ブラザース)B
43『パットン大戦車軍団』(1970年/米)B
42『レッズ』(1981年/米)B
41『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(2016年/米)B
40『エクス・マキナ』(2015年/米)B
39『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年/西)B
38『ムーンライト』(2016年/米)B
37『アメリカン・バーニング』(2017年/米)B
36『セル』(2017年/米)C
35『トンネル 闇に鎖された男』(2017年/韓)B
34『弁護人』(2013年/韓国)A
33『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年/クロックワークス)A
32『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年/東宝)B
31『南極料理人』(2009年/東京テアトル)B
30『沈黙 -サイレンス-』(2016年/米)B
29『メッセージ』(2016年/米)B
28『LOGAN/ローガン』(2017年/米)C
27『チャック~“ロッキー”になった男~』(2017年/アメリカ)B
26『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年/米、仏)B
25『沖縄やくざ戦争』(1976年/東映)B
24『恐喝こそわが人生』(1968年/松竹)B
23『われに撃つ用意あり』(1990年/松竹)C
22『T2 トレインスポッティング』(2017年/英)A
21『ロスト・エモーション』(2016年/米)C
20『激流』(1994年/米)C
19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る