『セル』(WOWOW)

Cell

 開巻早々、ロサンゼルス空港のロビーで携帯電話で話していた人間たちが一斉に発狂し、暴徒と化して凄絶な殺し合いを繰り広げる。
 ドキュメンタリータッチで撮られた酸鼻な描写はなかなか迫力たっぷりで、チープなCGながらも飛行機が墜落するに及び、今後の展開を期待させたんですけどね。

 ここから逃げ出す主役グループがジョン・キューザック、サミュエル・L・ジャクソン、それに『エスター』(2009年)の主役で異様な存在感を示していたイザベル・ファーマン。
 彼女がヒロインで最後までもつのかと思っていたら案の定、前半であっけなく狂人たちに殺されてしまった。

 原作はスティーヴン・キングで、彼が自作短篇を監督した『地獄のデビルトラック』(1986年)にゾンビ物のテイストを掛け合わせたような内容。
 一応、キューザックが自分の息子を探り当てるのがストーリー上の縦軸になっているが、『Zアイランド』(2015年)みたいなオチが待っているのは容易に察しがつく。

 ただし、1時間半きっちり退屈させずに見せているところは、B級プログラム・ピクチャーとして評価したい。
 オススメ度C。

(2017年 アメリカ 98分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

35『トンネル 闇に鎖された男』(2017年/韓国)B
34『弁護人』(2013年/韓国)A
33『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年/クロックワークス)A
32『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年/東宝)B
31『南極料理人』(2009年/東京テアトル)B
30『沈黙 -サイレンス-』(2016年/米)B
29『メッセージ』(2016年/米)B
28『LOGAN/ローガン』(2017年/米)C
27『チャック~“ロッキー”になった男~』(2017年/アメリカ)B
26『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年/米、仏)B
25『沖縄やくざ戦争』(1976年/東映)B
24『恐喝こそわが人生』(1968年/松竹)B
23『われに撃つ用意あり』(1990年/松竹)C
22『T2 トレインスポッティング』(2017年/英)A
21『ロスト・エモーション』(2016年/米)C
20『激流』(1994年/米)C
19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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