『トンネル 闇に鎖された男』(WOWOW)

터널,Tunnel

 一昔、二昔前は韓国でビル火災や橋の崩落事故などが起こるたび、日本では「どうせ原因はまた手抜き工事だろう」などと噂されるのが常だった。
 大がかりなビルや施設の建設計画が持ち上がるたび、業者が政治家や関係先に賄賂を贈り、そのぶん建設費から差っ引くのでろくなものができない、というのである。

 そんなのは日本の偏見に基づく風聞ではないか、という疑念が捨てきれなかったのだが、韓国では実際に昔からこの贈収賄体質が蔓延っていて、現代も変わりはないらしい。
 この映画で開通したばかりの新しいトンネルで崩落事故が起こるや、とんでもない手抜き工事が発覚、テレビ局のリポーターが鬼の首を取ったように「また手抜きです!」などと伝える場面があるからだ。

 主人公イ・ジョンス(ハ・ジョンウ)は自動車ディーラーで、ソウル郊外のガソリン・スタンドで給油し、一人娘のためにバースデー・ケーキを買って帰宅している途中、完成直後のハド・トンネルで崩落事故に遭う。
 スマホのバッテリー残量が減っていく中、テレビ局が電話をかけてきたり、唯一の食料だったケーキを犬に食べられたり、その犬の飼い主の少女ミナ(ナム・ジヒョン)が身動きの取れないまま死んでしまったり、細かな出来事の積み重ねでサスペンスを高めていく手法は定石通り。

 スマホでジョンスと連絡を取っていた救助隊長のキム・デギョン(オ・ダルス)は、ジョンスの目の前に落下していた送風機の番号を設計図と照合し、ジョンスが生き埋めになっている場所に向かってトンネルの上方から穴を掘り始める。
 ところが、ドリルがトンネルに達してもジョンスが見つからず、手抜き工事のせいで送風機の実際の場所が設計図と大きくズレていたことが判明。

 ここからうまく畳みかけられればもっと面白くなっただろうが、助かるかと期待させてはやっぱりダメか、という思わせ振りな繰り返しがいささかくどく、間延びしてきて、見ているうちにだんだん疲れてくる。
 最後は群がるマスコミに向かってデギョンが一喝する場面でカタルシスをもたらそうとしたようだが、糾弾しなきゃいけないのはこの手抜きトンネルを掘った建設会社でしょう。

 オススメ度B。

(2017年 韓国 127分)

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※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

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スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。毎週金曜朝8時、TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』出演中。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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