
1979~1996年、栃木と群馬の県境付近半径10㎞以内の地域で、5人の幼女が次々にさらわれ、遺体となって発見される事件が起こった。
このうち1990年の「足利事件」では、翌91年に菅谷利和という人物が逮捕され、有罪判決が下り、いったん無期懲役が確定している。
逮捕の決め手となったのは、DNA鑑定の結果、犠牲となった4歳の幼女の下着についていた体液と、菅谷氏の家宅捜索で押収したティッシュペーパーのDNA型が一致したことにある、とされた。
しかし、再審請求していた弁護側が2009年に提出したDNA再鑑定の結果により、実に17年以上も経って別人のDNA型だったことが明らかになった。
いったいなぜ、このような冤罪事件が起こったのか。
最大の原因は「MCT118法」と呼ばれる昔のDNA鑑定法にあった。
NHKの取材チームは、このMCT118法を開発導入し、菅谷氏を真犯人と誤認した科捜研の技官2人(番組では実名を出さずX、Yと表現)を特定。
この事件を20年以上取材し続けたジャーナリスト清水潔氏とともにアメリカに飛び、2人が学んだ研究室でどのようにして杜撰な鑑定法を導入し、誤った結果を導き出したかを検証していく。
番組はさらに、MCT118法が1992年の飯塚事件(NHK-BS1『正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜』で詳報)で久万三千年元死刑囚を有罪とする証拠となったことにも言及。
技官2人が菅谷氏に濡れ衣を着せただけでなく、久万氏を無実の罪で死に追いやった可能性にまで言及している。
冤罪はどのようにして作られるのか、その過程を綿密な取材と調査によって描いた映像ドキュメンタリーの傑作。
次回作では清水氏が炙り出した真犯人の人間像に迫ってほしい。
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