初盆

実家の仏壇(法事終了後)

今年は昨年9月13日、88歳で亡くなった父親の初盆で、月命日のきょう、実家で法事を行いました。
祖父母を見送った母親には、御供、蝋燭、提灯など、事前に細かい指示を出されており、僕なりに精一杯の準備をして臨んだつもりです。

場所を実家の仏間にしたのは、高齢の母親が菩提寺の照蓮寺の石段を上るのがしんどくなっていることに加えて、大変な猛暑になると予想されたから。
このため、僕より年上の照蓮寺の住職には、この炎天下でご足労をおかけすることになりました。

午前11時に電動機付き自転車で来宅され、汗を拭いながらお経をあげていただいた最中は、亡き父に思いを馳せるより、黒い法衣はさぞかし暑苦しいのではないかと気になってならなかった。
エアコンの冷房は24℃に設定し、途中から扇風機も回して、途中から住職を応援するような気持ちでお経を聞いていました。

たぶん、傍らの母親も、僕と同じように心配していたんじゃないか。
もしかしたら、初盆のときだけ帰ってくる、という父親も。

法事の後は、大広苑から配達された法事弁当(1人前5000円)で昼食。
この日まで僕に口うるさく注文をつけていた母親は食欲も旺盛で、お造りやローストビーフをもりもり平らげていた。

これならしばらくは元気でいてくれるだろうと思っていたら、「来年の三回忌まで(生きて)おれるかのう」と弱気なことを言う。
ところが、御供物の桃を切って出したら、「こりゃあ甘いわ!柔らかいわ!」と大喜びして僕のぶんまで食べてしまった。

そんな母親の表情に一喜一憂しながら、どうにかひとり息子としての〝大命〟を果たした一日。
法事が一段落してホッとしたときは、きょう送信予定の原稿を、危うく忘れてしまうところでした。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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