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最近、暴行事件で無期限出場停止が下った日本ハム・中田翔に対する批判の声が高まる一方だ。
トレードしろなんてのはまだ良いほうで、やれクビにしてしまえとか、やれ永久追放に値するとか。

東京オリンピックでも話題になったけれど、SNS、とくにTwitterができてから、こういう露骨な悪口雑言が世間の目に触れ、スポーツ選手に直接ぶつけられるケースが増えた。
今時はコロナ禍のため、野球ファン同士が飲みながら不祥事を起こした選手をボコボコにこき下ろす、というガス抜きの場が失われていることも一因かもしれません。

きのうはとうとう、栗山監督までが「このチームでは難しいのかな」と、放出を示唆する発言を行なった。
しかし、おいそれと受け入れる球団があるとは思えず、後ろ向きの移籍はしょせんその場しのぎで、中田の再起を阻むことにもなりかねない。

日本ハムはそういう〝懲罰人事〟に動く前に、中田を心理療法の専門家に預け、徹底的にメンタルを再チェックしてはどうだろうか。
今季の前半、打撃不振が続いていた中田は、声を荒らげたりバットを折ったり、さらには転倒して顔に青アザを作ったりしたあげくに二軍落ちと、かねて精神的に不安定な状態にあると見られていた。

そこで僕が思い出したのが10年前、中田にインタビューした時のこと。
中田は入団当時、報道陣に尊大な態度で放言を繰り返していて、太り気味だと指摘されると、「動けるデブになったらええんでしょう」と開き直ったりしていた。

日本ハムの本拠地札幌ドームを初めて訪れたとき、観衆の収容人員が満員で4万人ちょっとと聞いて、「そんなもんですか。僕はひとりで5万人の甲子園を満員にした男ですよ」とうそぶいていたこともある。
そうしたコメントの真意を聞いたら、中田は神妙にこう言っていたのです。

「ホンマ、アホみたいなことばかり言うてましたね。
実は僕、あの頃、すごい戸惑ってたんです…」

この続き、興味のある方はきょうの東スポ、大スポ、中京スポ、明日朝の九スポ(掲載日は変更あり)で御一読ください。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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