記者のひとりごと『プレーオフ再考』

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○心斎橋総合法律事務所報『道偕』2003年3月号掲載

プロ野球パ・リーグが来シーズンからプレーオフ制を導入しようと検討を続けている。
シーズン終了時に2、3位だったチームが何試合か戦い、勝ったほうが1位チームに挑戦する仕組みが濃厚のようだ。

終盤にもう一度山場があったほうが観客動員に結びつくと同時に、日本シリーズまで毎年間隔が空きすぎるという批判をかわす狙いもある。
セ・リーグに比べ人気が薄いパとしては、対抗する意味で何らかの手を打たねばならない声は以前からあり、ようやく具体化の方向にたどり着いた。

ただ、パは1973年から82年までの10年間、前後期の2シーズン制を導入し、優勝チームによるプレーオフを実施した過去がある。
それが廃止になったのは、前期に優勝したチームが後期は手を抜いたりするなどの弊害があったためで、プレーオフ導入が即人気回復につながるとは言い難い。

今回のもくろみも非難する声がないではない。
「前後期制のほうがまだましだ」という指摘がある。

以前のプレーオフ制度は優勝したチーム同士の激突だから意味があるというもので、2、3位のチームにチャンスを与えるのは、長いシーズンを戦って優勝した1位チームに失礼という見方だ。
それに昨年(2002年)のパの場合、優勝した西武と2位タイだった近鉄、ダイエーとは16.5ゲームもの差があった。

これで再び優勝の可能性を与えるのはいくら何でもひどいという指摘はよくわかる。
それなら終了時点でのゲーム差を、例えば3位まで3〜5程度以内なら認めるというルールはどうだろうか。

恐らくこれにも批判が続出しそうだ。
「3〜5の根拠は」「それに達しなかったシーズンはプレーオフをやらないのか」「シーズンによってプレーオフをやったりやらなかったりしていいのか」など、いろいろと思い浮かぶ。

パの関係者も十分にわかっている。
それでも提案した背景を重く見たい。

現場を座視するか、打って出るか、何もやらないよりましと考えた。
球界もいよいよ安泰ではない。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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