『ロッキー3』(WOWOW)

Rocky Ⅲ

『ロッキー3』(WOWOW)

 年明けの1月11日より、『ロッキー』シリーズ(1976年~)のスピンオフ作品の新シリーズ第2作『クリード 炎の宿敵』が公開される。
 WOWOWではそれに合わせ、新シリーズ第1作『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)をはじめ、旧シリーズ全6作を放送した。

 このシリーズは全作品をほぼリアルタイムで鑑賞し、『ロッキー4 炎の友情』(1985年)までは2回以上見ているので、いまさら再見する意味はほとんどない。
 と思っていたら、『クリード 炎の宿敵』についてコラムを執筆してほしいという依頼があり、慌ててこの旧シリーズ第3作と第4作を見なければならなくなった。

 初めて見た学生時代は大いに熱狂させられたが、いま見ると敵役のクラバー・ラング(ミスター・T)のキャラクターがあまりに下品で漫画チックなのがいただけない。
 ロッキー(シルヴェスター・スタローン)の恋女房エイドリアン(タリア・シャイア)に「おれならあんたを満足させてやれるぜ」などと吠えたり、試合の直前にロッキーに殴りかかろうとしたり、まるで脳みそが無い野獣のような描き方。

 それでも、ロッキーがアポロ・クリード(カール・ウェザース)に鍛え上げられ、エイドリアンに説得されてボクシングへのモチベーションを取り戻す過程はなかなか感動的である。
 クライマックスはお約束の展開ながら、ロッキーがクラバーに滅多打ちにされながらも見事返り討ち。

 これでめでたしめでたしかと思ったら、「本当はおれはおまえに負けてなかったんだ」とこだわるアポロが、ロッキーとふたりだけの〝決着戦〟に臨む、という幕切れも後味がいい。
 これから『クリード』シリーズを見る人にはぜひチェックしてほしい1980年代の快作。

 オススメ度B。

(1982年 アメリカ=ユナイテッド・アーティスツ 99分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

155『セブン・サイコパス』(2012年/米)C
154『涙のメッセンジャー 14歳の約束』(2015年/米)C
153『15時17分、パリ行き』(2018年/米)A
152『ヒンデンブルグ』(1975年/米)B
151『フレンチ・コネクション2』(1975年/米)A
150『フレンチ・コネクション』(1971年/米)A
149『宇宙からのメッセージ』(1978年/東映)C
148『惑星大戦争』(1977年/東映)C
147『クリスティーン』(1983年/米)B
146『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年/米)B
145『スリー・ビルボード』(2017年/米)A
144『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年/クロックワークス)A
143『牝』(1964年/東映)C
142『あばずれ』(1966年/東映)A
141『審判』(1962年/仏、伊、西独)C
140『残像』(2016年/波)A
139『ある過去の行方』(2013年/伊朗)A
138『別離』(2011年/伊朗)A
137『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年/米)A
136『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017年/英、米)C
135『007 ダイ・アナザー・デイ』(2002年/英、米)B
134『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年/英、米)B
133『007 ゴールデンアイ』(1995年/英、米)A
132『ジオストーム』(2017年/米)C
131『ザ・サークル』(2017年/米)C
130『殺人の告白』(2012年/韓)A
129『日本暗黒街』(1966年/東映)C
128『博徒仁義 盃』(1970年/東映)C
127『ビジランテ』(2017年/東京テアトル)A
126『ジョーカー・ゲーム』(2015年/東宝)C
125『007 消されたライセンス』(1989年/英、米)A
124『007 リビング・デイライツ』(1987年/英、米)B
123『007 オクトパシー』(1983年/英、米)C
122『007 黄金銃を持つ男』(1974年/英、米)C
121『チェンジリング』(2008年/米)A
120『エル ELLE』(2016年/仏、白、独)A
119『女王陛下の007』(1969年/英、米)C
118『007 スペクター』(2015年/英、米)B
117『007 慰めの報酬』(2008年/英、米)C
116『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年/英、米)C
115『暴走パニック 大激突』(1976年/東映)C
114『お尋ね者七人』(1966年/東映)B
113『忍者狩り』(1964年/東映)C
112『十兵衛暗殺剣』(1964年/東映)B
111『十三人の刺客』(1963年/東映)B
110『地上最大のショウ』(1952年/米)A
109『スリーピー・ホロウ』(1999年/米)A
108『モネ・ゲーム』(2012年/米)C
107『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(2017年/米)A
106『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』(2016年/米)C
105『ジェイソン・ボーン』(2016年/米)A
104『ボーン・レガシー』(2012年/米)C
103『ハンス・ジマー ライブ・イン・プラハ』(2017年/米)B
102『夕陽の群盗』(1972年/米)B
101『アウトロー』(1976年/米)A
100『スラップ・ショット』(1977年/米)B
99『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年/東宝)C
98『女囚さそり 701号怨み節』(1973年/東映)B
97『女囚さそり けもの部屋』(1973年/東映)B
96『女囚さそり 第41雑居房』(1972年/東映)B
95『女囚701号 さそり』(1972年/東映)A
94『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』(1961年/東映)C
93『三度目の殺人』(2017年/東宝)C
92『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』(2011年/米)B
91『エイリアン:コヴェナント』(2017年/米)B
90『プロメテウス』(2012年/米)B
89『アンドロメダ… 』(1971年/米)A
88『亡霊怪猫屋敷』(1958年/新東宝)B
87『怪談かさねが渕 』(1957年/新東宝)B
86『一寸法師』(1955年/新東宝)C
85『黒蜥蜴』(1962年/大映)B
84『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』(1976年/日活)D
83『狼やくざ 葬いは俺が出す』(1972年/東映)B
82『博徒七人』(1966年/東映)A
81『泥棒成金』(1955年/米)A
80『スペース カウボーイ』(2000年/米)C
79『ソイレント・グリーン』(1973年/米)B
78『狼は天使の匂い』(1972年/仏)B
77『さらば友よ』(1968年/仏、伊)B
76『傷だらけの栄光』(1956年/米)A
75『ハンズ・オブ・ストーン』(2016年/米、巴)B
74『ダンケルク』(2017年/英、米、仏、蘭)B
73『墨攻』(2006年/中、日、香、韓) A
72『関ヶ原』(2017年/東宝)
71『後妻業の女』(2016年/東宝)B
70『ショートウェーブ』(2016年/米)D
69『Uターン』(1997年/米)B
68『ミラーズ・クロッシング』(1990年/米)C
67『シザーハンズ』(1990年/米)A
66『グーニーズ』(1985年/米)B
65『ワンダーウーマン』(2017年/米)B
64『ハクソー・リッジ』(2016年/米)A
63『リリーのすべて』(2016年/米)A
62『永い言い訳』(2016年/アスミック・エース)A
61『強盗放火殺人囚』(1975年/東映)C
60『暴動島根刑務所』(1975年/東映)B
59『脱獄広島殺人囚』(1974年/東映)A
58『893愚連隊』(1966年/東映)B
57『妖術武芸帳』(1969年/TBS、東映)B
56『猿の惑星』(1968年/米)A
55『アンドロメダ・ストレイン』(2008年/米)C
54『ヘイル、シーザー!』(2016年/米)B
53『パトリオット・デイ』(2016年/米)A
52『北陸代理戦争』(1977年/東映)A
51『博奕打ち外伝』(1972年/東映)B
50『玄海遊侠伝 破れかぶれ』(1970年/大映)B
49『暴力金脈』(1975年/東映)B
48『資金源強奪』(1975年/東映)B
47『ドライヴ』(2011年/米)C
46『バーニング・オーシャン』(2016年/米)A
45『追憶の森』(2015年/米)B
44『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017年/ワーナー・ブラザース)B
43『パットン大戦車軍団』(1970年/米)B
42『レッズ』(1981年/米)B
41『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(2016年/米)B
40『エクス・マキナ』(2015年/米)B
39『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年/西)B
38『ムーンライト』(2016年/米)B
37『アメリカン・バーニング』(2017年/米)B
36『セル』(2017年/米)C
35『トンネル 闇に鎖された男』(2017年/韓)B
34『弁護人』(2013年/韓国)A
33『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年/クロックワークス)A
32『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年/東宝)B
31『南極料理人』(2009年/東京テアトル)B
30『沈黙 -サイレンス-』(2016年/米)B
29『メッセージ』(2016年/米)B
28『LOGAN/ローガン』(2017年/米)C
27『チャック~“ロッキー”になった男~』(2017年/アメリカ)B
26『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年/米、仏)B
25『沖縄やくざ戦争』(1976年/東映)B
24『恐喝こそわが人生』(1968年/松竹)B
23『われに撃つ用意あり』(1990年/松竹)C
22『T2 トレインスポッティング』(2017年/英)A
21『ロスト・エモーション』(2016年/米)C
20『激流』(1994年/米)C
19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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