『激流』(WOWOW)

The River Wild

 演技派の名女優メリル・ストリープが珍しくボートの達人というヒロインに扮したアドベンチャー・アクション映画。
 夏休みにボストンから実家のあるアイダホの片田舎に行き、夫デヴィッド・ストラザーン、息子ジョゼフ・マゼロと川下りを楽しんでいたところ、銀行強盗の一味ケヴィン・ベーコン&ジョン・C・ライリーがボートに乗り込んできてとんでもない目に遭う、というお話。

 川下りの場面はほとんどロケーション撮影で、ストリープも体重を増量して特訓に励み、90%をスタンドインを使わずに自分で演じているという。
 その甲斐あってか、次から次へと難所や急流に突っ込んでいくシーンは手に汗握る迫力。

 ただし、演出と脚本が中途半端。
 悪役のベーコン&ライリーの2人組がなかなかいい味を出している前半は、同じ川下りを描いたサスペンス映画の傑作『脱出』(1972年)を彷彿とさせるが、だんだん『アドベンチャー・ファミリー』(1975年)のような家族向けアトラクション映画のような雰囲気に変わってくる。

 ベーコンが殺したと思い込んだ頼りない亭主ストラザーンが実は生きていて、愛犬マギーが人間並みのアタマのよさを発揮するあたりから、結末がどうなるかは予想がついた。
 こういう映画を「スベってる」と言うんだよね。

 オススメ度C。

(1994年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ/日本配給UIP 1995年 112分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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