『テレビの中に入りたい』(WOWOW)🤨

 I Saw the TV Glow
100分 2024年 アメリカ=A24
日本公開:2025年 ハピネットファントム・スタジオ

ロバート・レッドフォードが創設したインディペンデント映画の登竜門、2024年のサンダンス映画祭に出品されて高評価を獲得し、熱狂的なファンを生み出した作品。
13歳でテレビのホラー番組にハマり、実際の人生との区別がつかなくなって、大人になってからも現実と幻想が入り混じった世界に生き続ける若者の物語である。

まだテレビ番組が青少年に大きな影響を与えていた1990年代、13歳の主人公オーウェン(イアン・フォアマン)の一番の楽しみは毎週土曜の夜、「ピンク・オペーク(混沌)」(PO)というホラー番組を観ることだった。
POは夜10時半からの30分番組で、オーウェンは夜10時に就寝するよう両親に躾けられていたから、自宅では観ることができない。

そこでオーウェンは男友達のジョニーの家に「お泊まり」すると親にウソをつき、この番組を教えてくれた少女マディ(ジャック・ヘヴン)の家で一緒に観るようになる。
しかし、ある日突然、マディは姿を消し、それと同時にPOも放送を打ち切られてしまった。

ここからオーウェンが大人(ジャスティン・スミス)となり、マディと再会するまでの心の旅が描かれる。
という概略はある程度理解できるのだが、マディ役のジャック・ヘヴンがなんとなく普通の女性に見えず、場面によっては男性にも見えることから、始終こちらの感情移入を妨げる違和感がつきまとう。

なぜかと思ってヘヴンの芸歴を調べたら、この俳優はノン・バイナリー、つまり自分の性が男性と女性のどちらにも属さないと自認している人間であることを公言しているのだ。
過去にはブリジッド・ランディ=ペインという女性名を使っていたが、トランプ大統領が「人間は男性と女性の2種類しかいない」と発言したことから男性名に変えたという。

そうしたヘヴンのプロフィールは、この映画のテーマである「自分探し」と見事に重なる。
幕切れの近く、オーウェンが胸を裂くシーンがカルト映画の名作『ヴィデオドローム』(1983)のジェームズ・ウッズを彷彿とさせるあたりも含めて、この種のサイコスリラーが好きなファンには面白い作品だろう。

オススメ度C。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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