オープン戦取材、最後の収穫は巨人の新人、元巨人の若手⚾️

巨人・赤星(左)と楽天・和田恋、二回第1打席の初対決は空振り三振

きょうも東京ドームでの楽天戦に敗れた巨人、オープン戦1試合を残してヤクルトとともに最下位に沈んでしまった。
とはいえ、明るい話題がなかったわけではない。

明日のスポーツ紙がこぞって絶賛するだろう新戦力、先発投手のドラフト3位新人・赤星優志(22、日大)である。
立ち上がりからヨロヨロしていて、初回1死から2打者連続四球を出し、こりゃ長くはもたないだろうと思っていたら、ここから無失点に抑えて踏ん張った。

おっ! と思わせたのが、キャンプで磨きをかけたという桑田投手チーフコーチ直伝のカーブ。
とくに、二回先頭の和田恋、三回1死二・三塁で浅村を空振り三振に仕留めた1球は、縦に大きく変化する切れ味鋭いウイニングショットだった。

四回には元巨人・炭谷のタイムリーで先制を許したものの、取られたのはこの1点だけで、6回88球を投げて5安打1失点にまとめたのだから、ルーキーとしては上出来と言っていい。
しかも、赤星本人によれば、ブルペンでは極めて調子が悪かったそうで、そういう状態でもしっかりゲームを作れたことはかえって評価できる。

赤星が大崩れせず、粘り強く投げることができたのは、やはり〝桑田カーブ〟のおかげだろう。
アマチュア時代はカーブが苦手で、ほとんど投げていなかったそうだが、そういう赤星を説得し、新たな武器を身につけさせた桑田コーチの慧眼もさすがだ。

一方、その赤星に3打席無安打に抑えられた和田恋(26)は八回、巨人の3番手・畠からライトスタンドへオープン戦1号ホームランをたたき込んで気を吐いた。
彼は2013年秋のドラフトで巨人に2位指名を受け、当時は大型内野手(180㎝、90㎏)として将来を嘱望される存在だった。

しかし、ファーストにロペス、ショートに坂本、サードには村田がいたこの時代、彼らを脅かすほどの存在にはなれず、4年目の17年までは一度も一軍に上がれなかった。
当時、そんな和田恋を三軍監督として指導していたのが元ショートの川相昌弘・現ファーム総監督である。

なぜ和田恋は一軍に呼ばれないのか、克服するべき課題は何なのか、あのころはよく川相監督から話を聞いたものだ。
おかげで和田恋のネタは随分溜まり、いつ書こうかと機会をうかがっていたら、19年に突然楽天にトレードされてしまった。

楽天でも苦労しているようだが、開幕を目前に控えたこの時期、オープン戦でスタメン出場の機会を与えられているということは、まだ秘めたる潜在能力に期待されているのだろう。
赤星ともども、一軍にしがみついて頑張ってほしい。

そこで、思い出した楽天の若手がもうひとり。
オコエはどうしているのだろうか。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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