『GODZILLA ゴジラ』(3D)😉

Godzilla
123分 2014年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 日本配給=東宝

こういう映画は初日に見なけりゃと思い、猛暑の中を日劇まで足を運んだ。
3D字幕版、15時40分からの回の客席は、ざっと見渡してみて五分から六分の入り、というところ。

お客さんはぼくと同世代のお一人様、及び60代以上のカップルが多かった。
まあ、こういう映画を初日から見に行こうという女子会や若いカップルはあんまりいないだろうね。

要するに、昔の東宝製ゴジラ特集を見に池袋の文芸坐へ足を運んでいるのと同じ客層。
ぼくもそのひとりだったというわけ(笑)。

出来栄えに関しては、退屈はしなかった、でも感動したかと聞かれると…というところです。
ホラー映画監督ジョー・ダンテが絶賛、町山智浩氏も高い評価を与えているというので期待したんだけれど、ぼくとしては期待せずに見たほうがよかったかな、というところ

ただし、「日本人のゴジラファンにも納得してもらえる作品になっていると思う」と公言していた渡辺謙のアピールには偽り無し、と言っていいでしょう。
本人がこだわりを貫いたという発音、Godzilla(ガッズィーラ)ではなく、Gojira(ゴジラ)で押し通していることにも素直に拍手を送りたい。

ゴジラの造形に関しては一長一短。
ローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』(2006年)で改悪されたイグアナの化け物のようなデザインよりははるかにマシながら、本作のゴジラも好き嫌いの分かれるところだと思う。

頭でっかち、なで肩、下半身デブ、デカ足の扁平足というオリジナルのプロポーション(?)にはほぼ忠実なのだが、表皮の質感にかなりの差がある。
着ぐるみゆえに爬虫類的だったオリジナルと違い、CGの本作は長らく地中でマグマからエネルギーを摂取していたという設定のためか、まるで岩石のようにゴツゴツしているのだ。

目が小さ過ぎるのも個人的には不満。
ぼくがオンタイムで初めて見たゴジラは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)で(当時4歳)、このときのゴジラはすでに「人間の味方」化して目がクリッとしていたため、こういうゴルゴ13みたいな目には大いに違和感を覚えました。

ついでに言うと、ゴジラと戦う怪獣ムートーの造形は平成ガメラシリーズに出てくるレギオンの親戚みたい。
ゴジラの強敵なのだから、もっと派手できらびやかなキングギドラみたいな怪獣に出てきてほしかった。

しかし、最大の問題点はやはり、ゴジラの〝出自〟が大きく改変された脚本でしょう。
1960年代の米ソの原爆投下実験合戦が実は…と、〝新芹沢博士〟渡辺謙が語るくだりには、首をひねりたくなる向きも多いんじゃないかな。

逆に、「3.11」の東日本大震災や福島原発事故など、現実の災害が作品内に採り入れられている部分は結構生々しい。
ゴジラが太平洋からハワイに上陸する直前、ゴジラの巨体によって津波が起こるところなど、ディテールがかなり丁寧に描かれているぶん、震災にトラウマのある観客は不快感を催すかもしれません。

ムートーとゴジラがアメリカ本土に上陸してからは、「9.11」を彷彿させる場面も頻出する。 
やはりゴジラは、その時代の災害を一身に背負いながら、どこかで人類の希望を代弁するメタファーとして、繰り返し再生される存在なのだろう。

そういう認識を新たにしたこともあり、ゴジラが咆哮するラストシーンにはちょっぴり感動しました。
昭和ゴジラのファンにとってはツッコミどころが多いけれど、それなりに楽しめる作品ではあると思います。

採点は75点(オススメ度B)。

旧サイト:2014年07月25日(金)PIck-up記事を再録、修正

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

61『見知らぬ乗客』(1951年/米)B
60『断崖』(1941年/米)B
59『間違えられた男』(1956年/米)B
58『下女』(1960年/韓)C
57『事故物件 恐い間取り』(2020年/松竹)C
56『マーウェン』(2019年/米)C
55『かもめ』(2018年/米)B
54『トッツィー』(1982年/米)A※
53『ジュディ 虹の彼方に』(2019年/米)B
52『ザ・ウォーク』(2015年/米)A※
51『マン・オン・ワイヤー』(2008年/米)B※
50『フリーソロ』(2018年/米)A
49『名も無き世界のエンドロール』(2021年/エイベックス・ピクチャーズ)B
48『ばるぼら』(2020年/日、独、英)C
47『武士道無残』(1960年/松竹)※
46『白い巨塔』(1966年/大映)A
45『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝)A※
44『ホームランが聞こえた夏』(2011年/韓)B※
43『だれもが愛しいチャンピオン』(2019年/西)B
42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
Scroll to top