きょうは中川虎と桑原の日…になるはずだった⚾️

六回無死一塁、中川虎は今宮に真っ向勝負、この直後にセンターへ飛んだ打球を桑原が好捕

今夜、ハマスタでソフトバンクを迎え撃ったDeNAの先発投手は4年目の中川虎大(こお)。
この珍しい名前には、少々長い説明を要する由来がある。

まず、お母さんが現役時代の工藤公康投手(現ソフトバンク監督)の熱烈なファンで、公康の公の字から「こう」という音の名前を希望。
一方、お父さんは大の阪神ファンだったことから、「こ」の部分に虎の字を当て、姓名判断の要素も採り入れ、「虎大」として「こお」と読ませる名前に決めた、という。

昨季までの3年間プロ未勝利で、今季も先発2試合、中継ぎ2試合の計4試合に登板しながら0勝で、先発では最長4イニングしかもたず、防御率も5.84。
こういう投手が昨季日本一のソフトバンク相手に先発できるのも、投手陣の台所事情が苦しいDeNAならでは。

きょうも五回までもてばいいけど、もっても3~4点は取られるだろうな、と思っていたら、いい意味でしっかりと裏切ってくれました。
三回にオースティンの先制タイムリーで1点のリードをもらい、五回まで柳田の二塁打1本、無失点に抑え、勝ち投手の権利を得て責任投球回数を終了。

ここまでの展開で、神里の登録抹消により、1番・センターに復帰した桑原が攻守に渡って中川虎を盛り立てたことも見逃せない。
三回、2死二塁で左中間を抜けそうな栗原の打球を横っ飛びのキャッチでソフトバンクの攻勢を止めると、その裏には先頭打者として出塁し、オースティンの右前打で先制のホームイン。

今季の桑原は全力疾走を怠ったボーンヘッドとか、1試合で凡フライを2度ポロリと落とした拙守とか、何かと悪目立ちすることが多かっただけに、本人にとっても汚名返上のいい機会になった。
中川虎が続投した六回も、桑原が1死一塁から今宮の打球を、今度は前に飛び込んで好捕と、1点差ながらも流れはDeNA、と思わせた。

ところが、この六回、1死一、三塁で柳田の遊ゴロの間に三走・牧原大が生還し、何とももったいない形で同点とされてしまった。
その後、DeNAはソフトバンクの小刻みな継投の前にチャンスすら作れず、負けはしなかったものの、1-1の同点のまま試合終了。

それでも、4年目でのベストピッチと言ってもいい中川虎の好投が、チームにとって明るい材料だったのは確か。
三浦監督も試合後のテレビインタビューで、「強力なソフトバンク打線を相手に、しっかり向かっていって、攻める投球をしてくれた」と絶賛。

「多少のフォアボール(3個)はありましたけど、しっかりと腕を振って、攻めのピッチングをしてくれた。
光(伊藤光)のリードもよかったし、コオ(中川虎)にとっても収穫のあるピッチングだったと思います。

(打線は)あと1点、何とかコオに勝ちをつけてやりたい、というところでしたけども、あと1点が遠かったですね。
ただ、(試合)内容は悪くないので、いつも言っていることですけど、これを次にどうつなげていくかです」

ここまで好ゲームを作ったのだから、次回は中川虎のプロ初勝利を見たい。
できれば、また桑原のファインプレー付きで。

試合中、ライトスタンドの向こうに横浜開港祭の花火が見えた
スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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