『下女』(WOWOW)🤨

下女 하녀/The Housemade
111分 モノクロ 1960年 韓国

WOWOW2月の企画〈ポン・ジュノ特集〉で、ポン・ジュノ監督とアカデミー賞受賞作品『パラサイト 半地下の家族』(2019年)に多大な影響を与えた作品として初放送されたスリラー映画。
僕は不勉強にして知らなかったのだが、監督・脚本のキム・ギヨンは1950〜80年代、独特の作風で評価された韓国映画界きっての鬼才だという。

とくに1960年に公開された本作は古典的名作と位置付けられており、今回放送されたヴァージョンは、アメリカのワールド・シネマ・ファウンデーション(2007年5月にマーティン・スコセッシが創立)の協力を得て、韓国映像資料院がレストアしたデジタル・リマスター版。
ジョルジョ・アルマーニ、カルティエがスポンサー協力していることから、国際的にも高く評価されていることがうかがえる。

主人公は紡績工場の音楽部で教師を務めるキム・トンシク(キム・ジンギュ)で、妻(チュ・ジョンニョ)、小児麻痺で足の不自由な娘(イ・ユーリ)、いたずらっ子で利かん気の強い息子(アン・ソンギ)との4人暮らし。
この家に新たな下女オ・ミョンジャ(イ・ウンシム)が住み込みで働き始めると、様々な異変が起こるようになる。

トンシクは工場の仕事のほかにも、自宅で工女のためにピアノの個人レッスンをしており、妻も家の改築費を稼ぐために裁縫の内職に余念がない。
トンシクも妻も事あるごとに生活が苦しいとぼやいているが、その割に家を改築したり、下女を雇って住み込み用の部屋を与えているあたり、日本とは同時代の金銭感覚や経済的事情が随分違うな、という印象を受ける。

しかも、決して楽ではない生活の中、3人目の子供をつくると、妻と2人の子供は産休、育休のために実家に帰省。
その間、トンシクは本性を現したミョンジャに誘われるまま関係を持ち、彼女にも子供ができてしまう。

実家から帰ってきた妻が事の次第を知って激怒し、ミョンジャに堕胎するよう迫ると、ミョンジャは自ら階段から転落して流産。
その間に妻が無事3人目の子供を出産すると、今度はミョンジャがトンシクに妊娠させられ、妻に堕胎を強要されたことを世間に公表する、そうなれば仕事も金も家も失うぞと、トンシク夫婦を脅して逆襲に出る。

トンシク夫妻が反撃できないのをいいことに、増長したミョンジャはトンシクに夜は妻とではなく、自分と一緒に寝るように命令。
その上、子供たちをも毒殺し、トンシク家を乗っ取ろうとするのだが。

どこかで見るか、聞くかしたような話だな、と思ったら、これは10年前にTOHOシネマズシャンテで観た韓国映画『ハウスメイド』(2011年)の下敷きになった作品だった。
『ハウスメイド』そうだったが、これから一体どうなることかと、ハラハラドキドキする以前に、事態がここまで深刻になる前にどうして下女を追い出すことを考えないのかと、観ていてじれったくなる。

疑問点はいろいろあるが、一番理解できないのは、妻を奴隷扱いされ、子供まで手にかけられたトンシクがなぜ怒らないのか、ということ。
トンシクが本気で逆襲にでたら最後のオチにつながらないからだ、と言われたらそれまでなんですが。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

57『事故物件 恐い間取り』(2020年/松竹)C
56『マーウェン』(2019年/米)C
55『かもめ』(2018年/米)B
54『トッツィー』(1982年/米)A※
53『ジュディ 虹の彼方に』(2019年/米)B
52『ザ・ウォーク』(2015年/米)A※
51『マン・オン・ワイヤー』(2008年/米)B※
50『フリーソロ』(2018年/米)A
49『名も無き世界のエンドロール』(2021年/エイベックス・ピクチャーズ)B
48『ばるぼら』(2020年/日、独、英)C
47『武士道無残』(1960年/松竹)※
46『白い巨塔』(1966年/大映)A
45『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝)A※
44『ホームランが聞こえた夏』(2011年/韓)B※
43『だれもが愛しいチャンピオン』(2019年/西)B
42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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