『事故物件 恐い間取り』(WOWOW)🤨

111分 2020年 松竹

オープニング、大阪の小劇場の舞台にジョナサンズという漫才コンビが登場し、ボケの中井大佐(瀬戸康史)とツッコミの山野ヤマメ(亀梨和也)が一所懸命持ちネタを演じて見せる。
しかし、客席で笑っているのは彼らのファンの小坂梓(奈緒)ひとりで、周囲の客は気味が悪いほど無表情なまま、クスリともしない。

久しぶりに〝ジャパニーズ・ホラーの巨匠〟中田秀夫のテイストいっぱいで、ワクワクさせる出だしである。
舞台がはねたあと、10年もやってきてまったくウケないことに嫌気が刺した中井はヤマメに向かって、コンビを解消しよう、オレは放送作家になる、おまえはピンでやっていけ、と一方的に宣言。

中井は番組制作会社プロデューサー・松尾(木下ほうか)を頼り、知り合いの芸人が事故物件のアパートで味わった恐怖体験を売り込む。
これを面白がった松尾が、その事故物件で寝泊まりするようヤマメと中井に命じたところ、彼らが部屋で撮影した動画に白い霊魂らしきものが映り込んでいた。

その怪しげな映像を松尾のバラエティー番組で紹介したところ、意外な好評を博し、高視聴率を獲得したため、ヤマメが事故物件の部屋に住み込み、中井が台本を書く試験的なコーナーがつくられる。
1軒目の事故物件は女が男に殺された部屋で、中井とヤマメがスマホのテレビ電話で話していると、両者の画面に同時に赤い服の女が現れる、というアイデアが秀逸。

1軒目の内容は京阪テレビにも評価され、松尾はヤマメと中井の事故物件コーナーをレギュラー枠に昇格。
ヤマメは事故物件を専門に扱う不動産業者・横水純子(江口のり子)と知り合い、自殺や殺人の起こったアパートを紹介してもらうようになる。

2軒目は20代の息子が70代の母親を虐待し、殺害したという部屋で、ヤマメと中井に巨大で黒い影のような悪霊がつきまとい始める。
ヤマメのファンだった梓は生まれつき霊感が強く、最初のうちは彼らの事故物件めぐりに協力していたが、この2軒目で母親の亡霊に殺されかけた。

このあたり、昔からの中田ファンにとっては傑作『仄暗い水の底から』(2002年)を彷彿とさせる展開で、怖がらせながらも楽しませてくれるのがうれしい。
しかし、3軒目、4軒目と続くと、亡霊や悪霊がヤマメや梓を攻める手口がお約束のように過激になるに従って、怖がらせ方がパターン化していく感も否めない。

原作は、実際に事故物件に住むことをネタにしているお笑い芸人・松原タニシが自身の不可思議な体験を綴った同題ノンフィクション。
アイデア自体は面白いし、さすがホラーの中田監督と思わせるディテールもいっぱいで、最後まで楽しませてはくれました。

しかし、観終わって満足できるかどうかとなると、やはり個人差があるでしょうね。
僕は好きだし、中田監督の次回作にも期待しています。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

56『マーウェン』(2019年/米)C
55『かもめ』(2018年/米)B
54『トッツィー』(1982年/米)A※
53『ジュディ 虹の彼方に』(2019年/米)B
52『ザ・ウォーク』(2015年/米)A※
51『マン・オン・ワイヤー』(2008年/米)B※
50『フリーソロ』(2018年/米)A
49『名も無き世界のエンドロール』(2021年/エイベックス・ピクチャーズ)B
48『ばるぼら』(2020年/日、独、英)C
47『武士道無残』(1960年/松竹)※
46『白い巨塔』(1966年/大映)A
45『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝)A※
44『ホームランが聞こえた夏』(2011年/韓)B※
43『だれもが愛しいチャンピオン』(2019年/西)B
42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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