『だれもが愛しいチャンピオン』(WOWOW)😉

Campeones,Champions 
118分 スペイン 日本公開:2019年 シンカ

ポスターのコピーにある通り、2018年に公開されたスペインのスポーツ映画で、その年の国内興収第1位と大ヒット、同国のアカデミー賞に当たるゴヤ賞で作品賞をはじめ3賞を獲得した映画。
プロ、アマ、少年少女ではなく、知的障害者のチームを題材としているところが異色である。

主人公マルコ・モンテス(ハビエル・グティエレス)はプロチームのサブコーチだったが、試合中にヘッドコーチと衝突してケンカになり、退場処分を受ける。
その上、ヤケ酒をあおって車を運転し、パトカーと接触事故を起こしてチームを解雇されてしまった。

簡易裁判所で女性判事が下した判決は、最低18カ月の懲役の代わりに科された90日間の社会奉仕活動。
こうしてマルコは、ダウン症やてんかんなど、様々な知的障害を抱えた選手たちのチーム〈ロス・アミーゴス〉のコーチをすることになる。

チームのメンバーは実際に障害を持つ俳優を募集し、オーディションを受けた600人の中から選ばれた10人が演じている。
向こう気の強いコジャンテス(グロリア・ラモス)、すぐハグしたがるフアンマ(ホセ・デ・ルナ)、駐車違反のチェックが仕事のマリン(ヘスス・ビダル)、女の子の胸ばかり見てしまうパキート(フラン・フエンテス)、てんかんの発作で練習中にフリーズするセルヒオ(セルヒオ・オリモ)など、それぞれのキャラが際立っていることが、本作が成功した最大の要因だろう。

最初のうちこそ「6歳児みたいな連中のコーチなんかしていられるか」と判事に判決の見直しを要求したマルコも、指導を重ねるうちにメンバーに愛着を覚え、チームを強くすることにのめり込んでいく。
そんなマルコを、別居中だった元女優の妻ソニア(アテニア・マタ)も支援するようになる、という展開は定石通りながらも気分よく見ていられる。

寄りを戻したいソニアが「あなたにそっくりの子供を作って、私たちもチームになりましょう」と言い出すと、「40歳を過ぎてから出産したらダウン症の子供が生まれるかもしれないぞ」とマルコは躊躇う。
そんな夫婦の葛藤も織り込みながら、アミーゴスはカナリア諸島で行われる全国障害者バスケットの決勝戦に進出。

決勝戦の前のエレベーターのエピソードが余計だったり、チームが強くなる過程がよくわからなかったり、クライマックスの盛り上げ方がいまひとつだったり、こういうところをもう少しうまくやっていたら、と言いたくなった部分も少なくないものの、総じて良心的な障害者スポーツ映画の佳作と言っていい。
日本ではあまり知られていないが、原案・脚本のダビド・マルケス、監督・共同脚本・編集ハビエル・フェセルの腕とアイデアが光っている。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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