雨の中、プロ初勝利をつかんだのはどっちだ☔️⚾️

きょうの神宮は朝からの雨でグラウンドキーパーが対応に追われていた

日刊現代の社員記者だったころは、雨で試合中止になるのがうれしかった。
〝雨傘原稿〟と呼ばれる埋め草は書かなければならないにしろ、試合を取材するよりも早い時間に仕事から解放され、飲みに行けるからだ。

とくに神宮球場の近辺には居酒屋、バー、オネーサン(と言っても僕より若い子がほとんど)のいるスナックと、行きつけの店がたくさんあった。
現在も親しくさせてもらっている球界OBがまだ現役だったころ、試合後や中止のあとに何度このあたりで飲んだことか。

しかし、フリーになって16年目、自分も飲み仲間も50代半ばを過ぎると、いまさら勇んで飲みに行く気も起こらない。
という以前に、新型コロナウイルスの第4波到来で、いわゆるマンボウが発出されているから、飲食店は軒並み夜8時まで、もしくは休業中。

だから、きょうのような雨の日は、若いころとは逆に、試合を見たい。
順位だけ見れば4位ヤクルト-6位DeNAのBクラス対決でしかなくとも、この試合に野球人生の将来をかけて臨んでいる若者たちがいる。

DeNAの先発投手は今年のドラフト1位新人・入江大生(22歳・明大)で、彼の球を受ける捕手はオープン戦からバッテリーを組んできた同い年の山本祐大。
片や、迎え撃つヤクルトの先発バッテリーは、投手がプロ4年目の金久保優斗(21歳)、捕手が二軍暮らしの長い5年目の古賀優斗(22歳)。

ちなみに、先発投手のDeNA・入江、ヤクルト・金久保はともにここまでプロ未勝利。
この試合で勝ち投手の権利を握ったほうが、記念すべきプロ初白星のウイニングボールを手にすることができる。

こういう若者たちにとっては、チームの順位だとか、観客の入場者数が制限されているとか、大人のファンやマスコミがしたり顔で並べ立てるネガティヴな材料など関係ない。
ただひたすら、きょう、この試合に自分が勝つために、チームを勝たせるために投げているはず。

そういう興味を持って見ていたこの試合、先に優位に立ったのは新人・入江のほうだった。
三回1死、自分の第1打席で金久保から四球をもぎ取ると、1番関根が中前安打でチャンスを広げ、同じ新人の牧秀悟(ドラフト2位、中大)の右中間適時二塁打で2点を先制。

牧はこの一打について、「同期の入江がランナーで出てくれたので、かえすことができてよかった」。
ついでに自分も打点16でヤクルト・村上を抜いてリーグトップに立ち、この若い力でチームも勢いに乗るかに思われた。

ところが、直後のその裏、入江自ら逆転されるきっかけをつくってしまう。
1死から自分の四球、暴投でピンチを広げ、村上の犠飛、塩見の2ラン本塁打で、あっという間に試合を引っ繰り返されたのだ。

雨による中断を挟んで再開された五回、入江は先頭の山崎にもヒットを打たれ、山田に中押しの2ランを浴びて5失点、1死を取っただけでKOである。
結局、入江は先発3試合目でまたもプロ初勝利を逃し、広報を通じて「自分の力不足を感じています」とコメント。

一方、金久保は六回、牧に17打点目となるソロ本塁打を浴びて3点差に。
1死から宮﨑を歩かせ、倉本の代打・オースティンを迎えたところで、8時2分からこの日2度目の雨による中断。

これで流れが変わるかとも思われたが、30分後に試合が再開されると、オースティンはあえなく右邪飛に倒れ、続く代打・ソトも二ゴロで万事休す。
きょうの未勝利対決は、1時間3分の中断時間を含め、4時間31分のロングゲームの末に、ヤクルトの金久保に軍配が上がった。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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