『徳川いれずみ師 責め地獄』(WOWOW)🤨

96分 東映 1969年 R15+

前項『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年)に続き、WOWOW特集〈大江戸官能絵巻〉で放送された東映黄金時代の時代劇ポルノ大作。
プロデューサーは岡田茂、監督は石井輝男、脚本は掛札昌裕と、当時この路線を担った面々がまたもや凄まじいエログロSMワールドを展開している。

もっとも、劇場公開された昭和時代はれっきとした成人映画(R-18)だったのに、現在の映倫基準ではR15+相当。
放送に当たって、とくに修正やカットも施されていないようだが、これでいいのかと、昭和生まれのオールドファンとしては首を捻りたくなる。

劇場公開されたのは『元禄女系図』が1969年の正月映画第2弾の1月9日で、本作が同じ年のGW第2弾の5月3日。
映画ジャーナリズムからは散々批判されたが、『元禄女系図』は当時の金額で1億5000万円に上る興収を稼いだと言われており、岡田プロデューサーがこの路線にいかに力コブを入れていたかがうかがえる。

ところが、勢いに乗って制作された本作は目論見が外れ、興行的には大失敗に終わったらしい。
コケた最大の要因は何かと推察するに、オムニバス映画の『元禄女系図』が様々に異なる趣向を凝らしていたのに比べ、本作は女性に刺青を入れて見せ物や売春婦にするというアイデア一本で押しており、趣向がマニアック過ぎる上、結果として単調で退屈な作品になっているからではないか。

男優の主役は彫り師の兄弟子・彫辰(小池朝雄)と弟弟子・彫秀(吉田輝男)。
この2人が将軍上覧の「刺青競演会」で女体に彫った作品を競い合い、敗れた彫辰は彫秀に殺人の濡れ衣を着せて島送りにしてしまい、彫秀の恋人・お鈴(橘ますみ)の肌に自分の手で刺青を彫る。

その彫辰を麻薬中毒にして陰で操っているのが、与力・鮫島(田島春男)と売春宿の女将・お竜(藤島八重子)。
お竜には同性愛嗜好もあり、自分になびかない由美(片山由美子)の目を潰し、お鈴とともに長崎の外国人専門売春宿に送り込む。

由美とお鈴は売春宿から脱出を図り、島抜けした彫秀とようやく再会を果たしながら、自分は汚れた身体になってしまったからと服毒自殺。
怒り心頭に発した彫秀は売春宿の主人の一人娘ハニー(ハニー・レーヌ)を誘拐し、彼女の全身に刺青を彫って復讐を図る。

この売春宿で行われる外国人女性の「刺青披露会」が後半のクライマックスで、前半の「刺青競演会」と対をなす見せ場。
会場の照明が落とされると、ハニーや外国人娼婦の身体に彫り込まれた蛍光塗料が闇に浮かび上がる、という趣向なのだが、はっきり言って美しくない、というよりいまではお化け屋敷の出し物みたいに見える。

長崎へ連れて行かれる女たちの中に何故か由利徹や大泉滉がいて、彼らが前半で演じるコントが唯一の笑わせどころ。
しかし、後半に入るとまったく出てこなくなり、最後は娼館に火が放たれて主要登場人物全員が死んでしまう。

エンディングがまた残酷、というよりいっそ豪快というか、奉行所に捕まったお竜がなんと、宙吊りにされて股裂の刑にかけられる場面でストップモーション。
このトシになるまでいろんな珍作、怪作を観たけれど、五指に入る一本であることは確かである、と言って、褒めているわけではありませんが。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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