『トンネル 9000メートルの闘い』(WOWOW)🤨

Tunnelen 104分 2019年 ノルウェー 日本劇場未公開

開巻、「ノルウェーのトンネルは非常口や通路が整備されておらず、事故の際に避難できるかどうかは運転手の自己責任とされている」という何とも不気味なテロップが出る。
そのため、「火災事故における生存者は少なく、この映画は2011年以降に発生した一連の事故に基づいている」というのだ。

このあと、ノルウェーの真っ白な雪原に伸びてゆく高速道路に続き、主要舞台となる全長9㎞のトンネルが映され、ドキュメンタリータッチの描写と静かな低音の音楽で雰囲気を盛り上げる。
主人公の救助隊員スタイン(ソービョルン・ハール)、その娘エリゼ(イルヴァ・フグレルッド)、ベルゲンの交通管制センターの管制官アンドレア(イングヴィル・ホルス・ブグドネス)ら、主要登場人物を紹介する出足も手際がいい。

トンネル内でタンクローリーが壁にぶつかり、火災が発生してからも、アメリカ映画のような派手な災害場面は繰り広げられず、有毒ガスが発生した中で人々が逃げ惑ったり、諍いを起こしたりする描写が多い。
しかし、このあたりからだんだん古臭いアメリカ製B級パニック映画のような展開になり、観ているうちに誰が死に、誰が生き残るか、大体の察しがついてしまう。

とくにスタインの恋人イングリッド(リサ・カーレヘド)がスタインとエリゼを救うため、酸素マスクもつけずにトンネル内へ突っ込んでいくクライマックスは著しくリアリティを欠いた。
序盤の冷たく乾いたドキュメンタリータッチで押し切れば、記憶にとどめていい佳作になったのに、残念。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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