『イングリッシュ・ペイシェント』(WOWOW)😉

The English Patient 162分 1996年 アメリカ=ミラマックス
日本公開 1997年 松竹富士

劇場公開時、最も古い付き合いの編集さんが、それほど映画好きでもないのに「観にいってきたよ」と言っていたのでずっと気になっていながら、今日まで未見のままだった第二次世界大戦中のラブロマンス。
当時はアカデミー賞の12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞(アンソニー・ミンゲラ)など9部門を受賞したことで話題になった。

開巻、エジプトの砂漠上空を飛んでいる複葉機が地上からドイツ軍の対空砲火を受け、炎上して墜落。
全身に大火傷を負い、記憶を失いながらも英語をしゃべるパイロット(レイフ・ファインズ)が瀕死の状態で助け出される。

連合軍の赤十字隊がイタリアを通行中に地雷原に遭遇し、この英語を話す患者を途中で置いて行かざる得なくなると、カナダ人看護師のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は彼の面倒を見続けることを決意。
廃墟となった修道院のベッドに患者を寝かせ、献身的な看護を続ける。

ここから映画は患者の回想場面に移行し、ハナに「イギリス人の患者」と呼ばれている彼が、実はラズロ・アルマシー伯爵というハンガリー人の考古学者だったことがわかる。
アルマシーはエジプトで泳ぐ人の壁画が描かれた洞窟を探索中、仲間のひとりジェフリー・クリフトン(コリン・ファース)の妻キャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)と不倫の関係を持っていた。

やがて、アルマシーとハナの元に、カナダ軍諜報部隊のデヴィッド・カラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)という男が訪ねてきて、「おれを覚えてないのか」とアルマシーに迫る。
カラヴァッジョはクリフトンの友人で、かつてドイツ軍のミュラー少佐(ユルゲン・プロホノフ)に拷問を受け、両手の親指を切り落とされていた。

そのカラヴァッジョは、自分がこんなひどい目に遭ったのは、自分がスパイ活動をしている写真をアルマシーがドイツ軍に売り込んだからだ、と言い募る。
いったいどういうことなのかと気を持たせながら、場面はふたたびアルマシーの回想場面に移る。

様々な事件の種明かしは大変よくできていて、オープニングの墜落事故へとつながる筋立てもしっかりしている。
ハナがインド人の爆弾処理工作兵キップ(ナヴィーン・アンドリュース)と仲良くなり、彼が不発弾を処理中に連合軍の戦車が通りかかって、その振動に作業を妨害される場面も迫力たっぷり。

面白いことは面白いが、この題材とストーリーで2時間42分はやはり長過ぎた。
アルマシーとキャサリンの不倫関係がしつこいほど繰り返し描写されているのに比べ、堪忍袋の緒を切ったジェフリーが無理心中を図るくだりなど、あまりにもあっけなく処理されているので拍子抜け。

アルマシーのスパイ疑惑の真相も説明不足に終わっている感が強く、カラヴァッジョが態度を豹変させる理由もいまひとつ納得できない。
そもそも、アルマシーの態度が終始一貫、自己中心的に過ぎ、感情移入できないところに本作の根本的問題があると思う。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

85『ラスト、コーション』(2007年/台、香、米)A
84『サンセット大通り』(1950年/米)A※
83『深夜の告白』(1944年/米)A
82『救命艇』(1944年/米)B※
81『第3逃亡者』(1937年/英)B※
80『サボタージュ』(1936年/英)B※
79『三十九夜』(1935年/英)A※
78『ファミリー・プロット』(1976年/米)A※
77『引き裂かれたカーテン』(1966年/米)C
76『大いなる勇者』(1972年/米)A※
75『さらば愛しきアウトロー』(2018年/米)A
74『インターステラー』(2014年/米)A
73『アド・アストラ』(2019年/米)B
72『FBI:特別捜査班 シーズン1 #16ラザロの誤算』(2019年/米)C
71『FBI:特別捜査班 シーズン1 #15ウォール街と爆弾』(2019年/米)C
70『FBI:特別捜査班 シーズン1 #14謎のランナー』(2019年/米)D
69『FBI:特別捜査班 シーズン1 #13失われた家族』(2019年/米)D
68『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン2』(2014年/米)A
67『記憶にございません!』(2019年/東宝)B
66『新聞記者』(2019年/スターサンズ、イオンエンターテイメント)B
65『復活の日』(1980年/東宝)B
64『100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!』(2004年/米)B
63『ロケットマン』(2019年/米)B
62『ゴールデン・リバー』(2018年/米、仏、羅、西)B
61『FBI:特別捜査班 シーズン1 #12憎しみの炎』(2019年/米)B
60『FBI:特別捜査班 シーズン1 #11親愛なる友へ』(2019年/米)B
59『FBI:特別捜査班 シーズン1 #10武器商人の信条』(2018年/米)A
58『FBI:特別捜査班 シーズン1 #9死の極秘リスト』(2018年/米)B
57『病院坂の首縊りの家』(1979年/東宝)C
56『女王蜂』(1978年/東宝)C
55『メタモルフォーゼ 変身』(2019年/韓)C
54『シュラシック・ワールド 炎の王国』(2018年/米)C
53『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン1』(2013年/米)A
52『FBI:特別捜査班 シーズン1 #8主権を有する者』(2018年/米)C
51『FBI:特別捜査班 シーズン1 #7盗っ人の仁義』(2018年/米)B
50『FBI:特別捜査班 シーズン1 #6消えた子供』(2018年/米)B
49『FBI:特別捜査班 シーズン1 #5アローポイントの殺人』(2018年/米)A
48『アメリカン・プリズナー』(2017年/米)D
47『夜の訪問者』(1970年/伊、仏)D
46『運命は踊る』(2017年/以、独、仏、瑞)B
45『サスペクト−薄氷の狂気−』(2018年/加)C
44『ザ・ボート』(2018年/馬)B
43『アルキメデスの大戦』(2019年/東宝)B
42『Diner ダイナー』(2019年/ワーナー・ブラザース)C
41『ファントム・スレッド』(2017年/米)A
40『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年/米)B
39『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/米)A
38『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年/米)A
37『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年/米)B
36『ワンダー 君は太陽』(2017年/米)A
35『下妻物語』(2004年/東宝)A
34『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年/東宝)C
33『FBI:特別捜査班 シーズン1 #2緑の鳥』(2018年/米)A
32『FBI:特別捜査班 シーズン1 #1ブロンクス爆破事件』(2018年/米)B
31『THE GUILTY ギルティ』(2018年/丁)A
30『ザ・ラウデスト・ボイス−アメリカを分断した男−』(2019年/米)A
29『X-MEN:アポカリプス』(2016年/米)B※
28『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
27『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
26『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
25『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
24『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
23『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
22『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
21『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
20『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
19『大脱出2』(2018年/中、米)D
18『大脱出』(2013年/米)B
17『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
16『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
15『グリーンブック』(2018年/米)A
14『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
13『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
12『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
11『前科者』(1939年/米)C
10『化石の森』(1936年/米)B
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A 

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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