「マスクいかがですか〜?」

「ぬすまないで」と平仮名にしているところにセンスを感じますね

朝7時半ごろ、近所を散歩していたら、近所の戸建にこんな札がかかっていた。
人ん家の花を毟り取っていく泥棒がいるのか、悪いやつがいるもんだなあ、と憤りながら、この札を書いた人はなかなかのセンスの持ち主だと感心。

本来なら「盗むな!」と怒りを前面に出すか、「盗んだら犯罪です!」と警告風に書いてもよさそうなものなのに、「ぬすまないで」とやんわり語りかけるような言葉を使っている。
添えられた花の絵は自作かどうかわからないが、つい見入ってしまうほどよく描けていて、妙にほっこりさせられました。

そのうち、この札を盗んでいく奴が出てこなきゃいいけど。
などと思いながら、昼間に買い物に出かけたら、聞こえてきたのがこんな声。

「マスク、いかがですか〜?
日本製のマスク、ありま〜す!」

宣伝をするわけではないので連絡先はカットします

最近、神楽坂通りにはよくマスク売りがやってくる。
今回は白人男性、アジア人女性の外国人2人組だが、売っているのはれっきとした日本製で、三井化学製の不織布を使い、都内の医療機関や宅配業者に使用されている、などとアピールしていた。

ちなみに、数日前には、オジサンひとりが同じ場所でマスクを販売。
このときは1枚100円のマスク2枚セットが200円、40枚の箱入りセットが3600円(1枚あたり10%お得)だった。

そのときは買わなかったのだが、きのうから登場した外国人2人組の商品は日本製で50枚3900円(税込)。
1枚あたり78円だから、1枚あたり90円だったオジサンのマスクよりは安い。

箱単価で比べると、いま購入申し込みが殺到しているシャープのマスクが50枚3297円(税込)。
こちらは当たるかどうかわからない上、かなり待つことになりそうだから、外国人2人組のマスクに興味を引かれることは引かれる。

もっとも、最近ディスカウントショップに出回り始めた50枚1980円程度の中国製マスクと比べると、高いことは高い。
となると、あとは2人組の言うように、本当に信頼できる品質かどうか。

売るほうもそれを意識してか、箱を並べた横にはマスクの性能に関する様々なデータが書かれたビラを表示。
さすがに納入先の具体名までは書いていなかったが、宅配業者に関しては女性が「〇〇の配達員さんに使ってもらってます!」と口で社名をしゃべっていた。

さらに、商品の箱から真っ新なマスクを取り出し、「1枚差し上げますから1日使ってみて、よかったらまた買いに来てください」と言い出したのだから、かなりの自信というか、念が入っているというか。
しかし、では道行く人がわれもわれもと買いに集まっているか、というと、これがそうでもないんですよ。

ともかく1枚もらっちゃったので、「きのうもここにいたけど、売れてるの?」と聞くと、「売れてます、売れてます!」という返事。
家に帰り、メールボックスから投げ込みのチラシを取り出したら、今度は近所の鰻屋が始めたテイクアウトのメニューだった。

地元ではよく知られた店です

う〜む、鰻重弁当が3800円か、日本製マスク1箱50枚とあまり変わらんな。
さて、どっちを買ったもんか、どっちもやめといたほうが無難か。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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