『仄暗い水の底から』(WOWOW)😏

101分 2002年 東宝

この映画は劇場公開当時、プロ野球キャンプの取材で滞在していた宮崎の映画館〈宮崎東宝〉で観た。
当時の宮崎はまだシネコン化の波が及んでおらず、宮崎駅前の交差点付近にある宮崎セントラル会館で、この〈宮崎東宝〉をはじめ、昭和の雰囲気を残した複数の劇場が営業していた。

毎年宮崎を訪れていた1989〜2004年ごろまで、2月に公開された話題作はほとんど宮崎で鑑賞している。
本作は恐らく、宮崎セントラルシネマがシネコン化して現在のイオンモールへ移転する前、最後に観た作品だったはずだ。

安普請で独特の臭気が漂う客席で観たこのホラー映画は、それはそれは怖かったものである。
とくに、シングルマザーのヒロイン黒木瞳が、クライマックスで自分が手を握っているのが娘ではなく、死んだ少女の亡霊であることに気づいたときの恐怖に怯えた表情はいまも忘れ難い。

その少女が黄色い雨具を着て姿を表す最初のカット、黒木がその部屋を訪ねたら水道が出しっぱなしで水浸しになっていた、というショックシーンの演出は中田秀夫監督の真骨頂。
ちなみに、水浸しの部屋は原作にも出てくる重要な場面で、鈴木光司の実体験に基づいているという。

しかし、あれから18年、WOWOWで見直した本作は、宮崎で初めて観たときに比べると、それほど怖くなかった。
大スクリーンで観なきゃいけないのはCGに溢れ、大音響が鳴り響くハリウッド超大作ばかりではないのだ、と改めて痛感しました。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※ビデオソフト無し

5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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