『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』(Dolby-ATMOS)

Star Wars: The Rise of Skywalker
142分 2019年 アメリカ=ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ

ああ、ついに、とうとう終わったか、という感慨は確かにある。
第1作『エピソード4 新たなる希望』(1977年)の劇場公開以来、『エピソード2 クローンの攻撃』(2002年)だけを除き、すべて封切り直後に映画館で観た元オタク小僧としては。

今回は初日のきのう20日、寝不足の頭を抱え、眠い目を擦りながら、TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーンが大きく、特別音響装置Dolby-ATOMSのあるスクリーン7へ、午後3時からの回を観に行った。
超満員とまではいかず、お客さんも若い人たちばかりで、おれと同世代が少なく、コスプレしたマニアックのファンもいなかったのはちょっと寂しかったかな。

というわけで、私、熱心なスター・ウォーズのファンであることは確かなのですが、だからと言って必ずしも肯定的な意見の持ち主ではありません。
誰かも言っていたけれど、第1作からオンタイムで観ている私のような世代にとって、本当の意味でスター・ウォーズと呼べるのは最初の3部作(エピソード4〜6)だけ、もっと言えばその第1作のみ。

何故なら、純粋なSFファンタジーであり、宇宙冒険活劇であり、ひとりの少年がたくましく成長していくビルドゥングスロマンでもあるという、子供心にダイレクトに訴える要素をすべて満たしているのは第1作だけだからです。
舞台は大宇宙、主人公は少年(ルーク・スカイウォーカー)、少年が救うお姫様(レイア姫)、少年を導く老賢者(ベン・ケノービ)、少年の悪友(ハン・ソロ)、彼らの召使と道化師(R2-D2&C-3PO)、みんなが立ち向かう悪漢(ダース・ベイダー)と、第1作は少年が胸躍らせるキャラクターと設定が過不足なく整っていた。

しかし、第2作で悪漢が少年に向かって「おれがおまえの親父なんだよ」と言い出し、この物語はグレた親父と泣き虫の息子の親子ゲンカ、彼らを取り囲む親戚同士の内輪揉めという、極めてせせこましい家庭劇の世界へ収斂されていく。
さらに、このサプライズが全世界で大ウケしたため、続く3部作(エピソード1〜3)は、ルークの父アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーになったか、というビルドゥングスロマンならぬピカレスクロマンへと変質。

とくに、『エピソード3 シスの復讐』(2005年)なんて、CGを駆使した見せ場を山とつくりながら、観終わってみれば最も印象に残ったのは、火ダルマになりながら「おれはおまえを憎む」と絶叫していたアナキン(ヘイデン・クリステンセン)の顔ばかり。
こんなの、SFファンタジーでもなければ宇宙冒険活劇でも何でもないよ〜。

で、2015年に新3部作が始まったときは、ルーク、ソロ、レイアが登場するエピソード4〜6から直接続く物語だから、昔のテイストが復活するんじゃないかと期待したんですけどね。
『エピソード7 フォースの覚醒』(2015年)ではソロとベン(カイロ・レン)の親子ゲンカからスタートって、おいおい。

この路線は『エピソード8 最後のジェダイ』(2017年)、そしてきのう観てきた本作でも踏襲され、どこまで行っても血の繋がりがつきまとう。
何度も言うけど、これってSFじゃないだろ、冒険活劇とも違うだろ?

と、内心でブツクサ言いながら、ルーク・スカイウォーカーが出てきたり、Xファイターが浮上したり、40年以上前に心揺さぶられたキャラやアイテムが要所要所でグワッと出てくると、もう泣けて泣けて、勝手に涙が溢れ出してどうしようもない。

そうだ、よく見りゃレイ(デイジー・リドリー)もベン(アダム・ドライヴァー)もなかなかの熱演じゃないか。
J・J・エイブラムスの演出もしっかりと押さえるべきツボは押さえてるんだよ。

こういう映画は、ああ、終わった、面白かった、つまんなかったと、それぞれが好き勝手なことを言ってりゃいいんだよ。
という悟りの境地に達したとき、私はフォースと共にあることを実感したのでした。

なお、映画鑑賞後は恵比寿のスペイン料理屋へ移動し、巨人関係者、テレビ局関係者と忘年会。
酔っ払って「大体、スター・ウォーズなんてものは…」と言いかけたところで、これから観るという参加者に「それ以上しゃべっちゃダメ!」と怒られました。

採点は80点。

TOHOシネマズ新宿・日比谷・渋谷・六本木、新宿ピカデリーなどで公開中

2019劇場公開映画鑑賞リスト
※50点=落胆 60点=退屈 70点=納得 80点=満足 90点=興奮(お勧めポイント+5点)

10『ターミネーター ニュー・フェイト』(2019年/米)80点
9『ジョーカー』(2019年/米)90点
8『アポロ11 完全版』(2019年/米)80点
7『主戦場』(2019年/米)85点
6『長いお別れ』(2019年/アスミック・エース)75点
5『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年/米)80点
4『アベンジャーズ エンド・ゲーム』(2019年/米)75点
3『ファースト・マン』(2018年/米)85点
2『翔んで埼玉』(2019年/東映)80点
1『クリード 炎の宿敵』(2018年/米)85点

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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