BS世界のドキュメンタリー『IS 狂気の内幕』(NHK-BS)

ISIS Leaks : Inside the Monster’s Mind
50分 2018年 フランス=国際共同制作CAPA PRESSE
初放送:NHK-BS1 2018年10月12日(金)午前0時00分~
再放送:2018年10月26日(金)午後5時00分~、2019年12月4日(水)午後11時00分~

イスラム過激派組織IS(イスラミックステート)が北アフリカの拠点としていたリビアのシルトで、司令官アブデラ・ハマーンの家からパソコンが発見された。
そのハードディスクには、爆弾の作り方やアメリカ本土におけるテロ計画など、様々な極秘文書のデータが記録されていた。

とりわけ生々しいのは、シルトがISに占領されていた当時、ISの兵士たちが市民から財産を略奪したり、街中の公園でリンチを加えたりする動画である。
敬虔なイスラム教徒の集団であることを建前としているISは市民にアルコールの摂取を禁じ、酒を飲んだことが発覚した場合は家族の前で鞭打ち40回、イスラム教徒の場合は50回の刑罰を与えていた。

ISはシルトを占領した当初、1カ月で実に49人の処刑を断行。
このドキュメンタリーには、姦通4度の罪で逮捕された市民が、公開の場で背後から銃殺される動画も紹介されている。

一方で、ハマーンの妻が持っていたスマホの中には、ハマーンが自宅で禁じられている酒を飲み、子供の誕生日を祝う動画が残されていた。
シルトの市民にはドラッグを禁じていながら、自分たちはマリファナやコカインを売って資金にしていたという。

さらに飽きれるのは、兵士に女をあてがうため、強制的に17回も結婚と離婚を繰り返させられていた女性がいたということ。
ドローン搭載カメラが空撮したシルトの街はいまや完全に廃墟と化しており、ゴーストタウンと化した石造りの家並みが延々と映し出される。

かつてここで平和な生活を営んでいた市民はどこへ行ったのか、どうして人間の世界ではいつの時代もこのような虐殺が繰り返されるのか。
廃墟の空撮画面を観ながら、答えの出ない疑問が頭の中に浮かんでは消えた。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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