『アントマン&ワスプ』(WOWOW)

Ant-Man and The Wasp
118分 2018年 アメリカ=ウォルト・ディズニー・スタジオモーション・ピクチャーズ

今年、いったん〈アベンジャー・シリーズ〉に区切りをつけた『アベンジャーズ エンド・ゲーム』の前日譚の1本で、個人的には『エンドゲーム』までに観た〈マーベル・シネマティック・ユニバース・シリーズ〉(MCU)22本中15本目。
ただし、本シリーズの諸作と同じように、前後のお話を知らなくても独立した作品として十分楽しめる。

開巻、ハンク・ピム(マイケル・ダグラス)の妻ジャネット(ミシェル・ファイファー)が核ミサイルを爆破するために量子レベルまでミクロ化し、家族と生き別れになってしまった、というシリーズ前作『アントマン』(2015年)での出来事が説明される。
ジャネットはその後、死んだも同然の扱いになっていたが、主人公スコット・ラング(ポール・ラッド)の脳に量子世界からまだ生きているというメッセージを送ってきた。

ラングは前作の不始末からFBIに2年間の自宅軟禁を科されており、ハンクとその娘ホープ(エヴァンジェリン・リリー)は国際指名手配を受けている身。
ジャネットを救出しようと動き始めた彼らにFBIの担当捜査官ジミー・ウー(ランドール・パーク)が目を光らせ、ハンクのラボをつけ狙う武器商人一味の首領ソニー・バーチ(ウォルトン・ゴギンズ)も追いかけてくる。

そして、ハンクに恨みを持つ新ミュータント・ゴースト/エイヴァ(ハナ・ジョン=カーメン)、彼女の親代わりとなっているハンクのかつての助手ビル・フォスター(ローレンス・フィッシュバーン)が登場。
三つ巴、四つ巴の追いかけっこが繰り広げられる中、果たしてラングたちはジャネットを現実世界に連れ戻すことができるのか。

前作『アントマン』から続投した監督ペイトン・リードは、今回もスピーディーな展開の随所に笑いを織り交ぜ、最後までまったく退屈させない。
中心となる3人もさりながら、ラングの泥棒仲間で大変なおしゃべりのルイス(マイケル・ペーニャ)、ラングが愛してやまないひとり娘キャシー(アイビー・ライダー・フォートソン)など、脇役のキャラクターたちが今回も頬ずりしたくなるほどの好演。

難点があるとすれば、ハンクがジャネットの救出に向かう量子世界のビジュアルが意外に凡庸だったこと。
とくに、『ミクロの決死圏』(1966年)の白血球に手足を生やしたような気持ち悪い化け物を出したのは余計だった。

これは『エンドゲーム』を観る前、映画館で3D版を観たかったなあ。
あ、『エンドゲーム』は本作を見ていなくてもそれなりに楽しめますが。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

87『アイアンマン』(2008年/米)A
86『ミクロの決死圏』(1966年/米)C
85『クレオパトラ』(1963年/米)C
84『瞳の中の訪問者』(1977年/東宝)D
83『HOUSE ハウス』(1977年/東宝)C
82『マザー!』(2017年/米)B
81『アリー・イン・ザ・ターミナル』(2018年/米、英、愛、洪、香)D
80『ヴェノム』(2018年/米)B
79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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